不動産会社経営の夫(2代目:年収3000万円)と元商社勤務の専業主婦の妻、Bさん(47歳)。子ども1人。バブル崩壊後、経営は悪化するもBさんは何も知らされず、優雅な日々を送っていた。しかし、夫が別の事業に手を出し失敗。多額の借金を抱え、自宅は差し押さえとなりついに離婚。実家には兄家族がすでに同居しており、仕方なく賃貸マンションに引っ越した。

「子どもの教育費と生活費を捻出するため職を探しましたが、全然雇ってもらえません。毎日ファミレスで8時間バイトしてくたくた。それでも月20万円にも満たず、毎月赤字です」

50歳近い元専業主婦が再就職しようとしても、元事務職OLでブランクが10年以上となると可能性はゼロに近い。結局肉体労働の時間給となり、体もつらい。このような大卒でも学歴に見合った仕事ができない「子育て後ニート」を大量生産してしまうのも、日本の婚姻制度の特色だ。

Cさん(50歳)は客室乗務員だったときに官僚の夫と結婚し専業主婦に。

安定した高級官僚なので、結婚後数年ほどで都内1等地に大きな家をキャッシュで購入。教育熱心で子どもは小学校から有名私立。絵に描いたような幸せな一家だった。

しかし、なぜか夫が早期退職し、自称文筆業になってから悲劇が始まる。年収1500万円はゼロになり、退職金5000万円あまりは、1円も妻に渡されることはなかった。妻は生活費と子どもの教育費のため、一発逆転を狙いFX投資を始める。しかし、あっという間に損失が膨らみ、貯金2000万円も失ってしまった。今はスーパーでレジ打ちのパートをしながら、なけなしの貯金を取り崩して生活している。子どもは不登校から高校を中退。現在はひきこもり状態だという。

「夫の愛人問題も発覚し、稼げない夫に未練はありません。今、家だけでも名義を私にしようと離婚係争中です」

このように離婚と夫の失職がいっぺんにやってきて一直線に没落してしまうのもタガメ女たちの共通の特色だ。

セレブ妻はもともと「リスクを取る夫」と結婚したという自覚があり、「明日何があっても一緒に乗り切れる」と腹をくくっている。またいざとなれば、稼げる手段を持っている人も多い。

タガメ女は夫のリソースを食い尽くす代償として家庭に閉じ込められ、夫のリソースの終わりと自分の終わりが一緒という意味では、実は悲劇的な存在なのだ。「こうあるべき幸福」と自分で選んだ幸福は、順風なときは真のセレブ妻と似て見えるが、いざ不測の事態となると天と地ほど違う。それがタガメ女と盤石なセレブ妻の一番の違いなのだ。

(PIXTA=写真)
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