周囲にポジティブな影響を与える話し方とはどんなものか。2024年に新日本プロレス社長に就任したプロレスラーの棚橋弘至さんは「『だと思います』よりも『です』と言い切るほうが力強いメッセージを与えられる。レスラーとしてのマイクパフォーマンスで学んだこの話し方は、今は会社の朝礼でも活かされている」という――。
※本稿は、棚橋弘至『棚橋弘至、社長になる プレジデントエースが描く新日本プロレスの未来』(星海社新書)の一部を再編集したものです。
毎日出社するようになって事務方への意識が変わった
社長になる前の僕は、新日本プロレスの経営方針や事務方に対して声を上げたことがほとんどなかった。正直、会社のその部分に関しては全然ノータッチだった。
僕に限らず、新日本プロレスのレスラーは事務所に足を運ぶこと自体がほとんどない。取材やインタビュー、写真撮影、あとは年末年始の契約更改ぐらいだけで、そういった特別な機会がなければ事務所に行くことがなかった。
しかし、社長はオフィスに毎日出勤する。すると、同僚というべき事務方の見え方が全然変わってきた。
もともと僕は、自分がレスラーとして新日本プロレスのエースやチャンピオンであればこそ、団体のレスラーやその家族を食わしてやるという気概を持っていた。しかしながら社長となった今、レスラーだけではなく会社のオフィスで働いているみんなを食わせなければいけないというふうに、意識が明確に変わった。
そう、新日本プロレスに関わる全ての人を今の自分は背負っているのだ。
背負いすぎて前以上に膝がボロボロになったような気もするけど、自分一人で全てができるわけではなく、周囲の支えのおかげなのだと気づくことも増えた。
実際、僕は社長であると同時に、改めての社会人一年目でもあるのだ。

