【mucco】私は戸建てに強いこだわりはなかったので、マンション暮らしでも何とも思いませんが、そのへんの転換がうまくできないと喧嘩になったでしょうね。

【藤川】そう。「広い敷地に2階建て」しか家と認めない、となると都内で持ち家というのは相当ハードル高いです。

【mucco】その価値観を変えるのは大変ですよね。

【藤川】そう。我々は現実を見ながらアドバイスをしなきゃいけないのですが、その現実の前にたちはだかるのが「子どものころからの当たり前」です。これが夫婦で違うとさらに大変。例えば教育でも「公立に行くのが当たり前」の夫と「私立に行くのが当たり前」の妻の価値観をすり合わせるのは気が遠くなるようなことですよ。

【mucco】私たちが子供だった時代とは違うというのはありますけれど。

【藤川】それで最後は「私立に行かせたい」という妻に夫が納得させられてしまう。

【mucco】まあ、そうなんでしょうね。

【藤川】当たり前を崩すというのは非常に難しいんです。私たちの親世代は特殊な時代に過ごしていたんですよ。高度経済成長期という、今年よりも来年のほうが豊かになるという時代は、少しでも早く借金をして、家を買って、買い換えて、最終的には戸建てを手に入れて、冷蔵庫、テレビ、クーラー、車はどんどん買い足し、買い換えて。うちもそうでした。でっかいクーラーが来たときにはうれしかったですね。それが親世代の成功ストーリーだったから、子どもの世代もそこから始めるのを「当たり前」と思うんです。いきなりいい家に、冷蔵庫、洗濯機、大型テレビ、車、全部そろえようとする。給料安いのに。

【mucco】出だしから……。

【藤川】そんなのうまくいくわけないですよ。だから、新婚さんには最初は1DKでもいいじゃないですか、いずれ広い家に引っ越せばいいのだから、というお話をします。若い人はそれで納得してくれますが、親が結婚したらせめてこれくらいのところには住まないと、とか言って口をだしてくるから無理をして高い家を買ってしまう。それが子供を苦しめるんです。

【mucco】藤川さんも最初は1DKだったのですか。

【藤川】そうですよ。1DKに家族4人。引っ越すきっかけになったのが、娘がお友だちから遊びに行きたいといわれて「部屋が1つしかないからいやだ」と断ったことです。

【mucco】それはちょっと切ないですね。ポリシーを持ってやっていたとしても。

【藤川】ですよね。でも家はそろそろ買おうとは思っていたし、たまたま不動産市況もどん底だったのでいいタイミングかなと。