【mucco】ムードなんですよね。
【藤川】ムードです。うまく波に乗れる人もいるかもしれないけれど、こういうときは高値をつかみやすい。結構な人が既に高値をつかんじゃってます。でもまだ割安なものもなくはないので、ストライクボールを見極めれられればいいですが、雰囲気だけで買う人は危ないですね。
【mucco】実際の収入が増えていないにもかかわらず、お金をつかってしまう感覚はどこから生まれるのでしょうか。そもそも私たち日本人は、お金に対する意識がなぜこんなに低いのかと……。
【藤川】周囲の人のことばかり気にしているのが原因の1つだと思います。たとえば、となりのナニナニちゃんが塾に行き始めたと聞けば、うちの子も塾に行かせなきゃ、と不安になり始める。とにかく周囲と同じことをしていれば安心と思っているので、お金のことは考えなくなります。お金のことを考えてしまうと同じことができなくなるかもしれませんが。あともう1つは、親の教育ですね。お金に関する価値観ということでいえば。
【mucco】そうですよね。
【藤川】お金に無頓着な人は親世代もそうだった可能性が高いんです。旧家の人なんかはとても堅実で、「無駄遣いするな」「投資をするな」というのが家訓だったりします。
【mucco】苦い経験があるのでしょうね。
【藤川】おそらくね。だから子孫には同じ苦労をさせたくないということかもしれません。子孫も代々家訓を守って、バブルだろうがアベノミクスだろうが「絶対投資はしない」を貫く。代々のお金持ちの人というのはやっぱりそういうぶれない何かを受け継いでいる人が多いです。普通の人はそこまで徹底した価値観がないですね。ただ、節約家のお母さんがいた家庭のお子さんが節約家になるケースは多いですよ。
「子どもの頃からの当たり前」を夫婦ですり合わせられるか
【mucco】夫婦といえど、育った環境は違うので、もともとの価値観は違いますよね。
【藤川】ある家族が相談にきて、私の目の前で車を持つ持たないで揉めたんですよ。奥さんのほうは「うちは小さいころから車は2台が当たり前だった。車がない生活なんて考えられない」と言うんだけれど、旦那さんは「うちは車を持ったことがない。ないのが当たり前だ」と真っ向から衝突して。でも家計的には明らかに持たないほうがよかったんです。
【mucco】ああ、それはわかります。たとえば私は田舎出身で、家というのは戸建てで、池があってみたいなのが当たり前のところで育ってきました。でも主人は都心部にある4、5階建の集合住宅で育っているので、土地に戸建てという感覚が全くないんですよ。
【藤川】それは家選びに影響してきますよね。