【田原】相手のニーズは、話しているうちにわかるものですか。
【太田】最初は、どのお客さんにもそんなにニーズはないんですよ。ニーズがあるかどうかを見極めるというより、対話をしながらニーズを喚起していくというほうが近いかもしれません。
【田原】最初にニーズがないのなら、お客さんは「うちは間に合ってます」と断ってきますよね。そのときはどうやって入り口をこじ開けるの?
【太田】「間に合っています」と言われたら、まずは「そのとおりですね」と受け止めます。これを3回ぐらい繰り返すうちに1つ、質問をして、お客さんが、“ポロッ”と答えてくれたことの中にニーズにつながるヒントが隠れていたりするんです。
【田原】僕は政治家や経営者によくインタビューしていますが、何よりも最初の質問が肝心です。最初の質問が普通だと、「この程度のやつか」と思われて適当にあしらわれる。だから最初からみんなが知らないことを質問して、「おっ、こいつはまともに相手しなきゃいけないな」と思わせる。それが僕の商売の大事なところですが、営業の場合は少し違うようですね。
【太田】営業は恋愛と似ていて、一発勝負で押すだけではダメなんです。押したら引いて、相手に選ばせて考えさせて、そしてまた忘れたころにやってくるというやり方で、少しずつ心を開いてもらうという感じでしょうか。
【田原】最初は苦戦していた太田さんも、そのうちにトップ営業の仲間入りをした。秘訣を教えてください。