生活者視線では、私たちのほうが得意

【太田】リクルートの社員たちは非常に優秀な方ばかりでした。最初は真似をしようと躍起になっていました。でも、まわりは“スーパーマン”ばかりで、おとなしい私が真似をしてもうまくいかない。それならば、ホスピタリティあふれるフォローをコツコツとやっていったほうが自分は生き延びられるだろうと営業方法を変えたら、結果が出せるようになってきました。

【田原】優秀な営業マンとはどこが違うと思いましたか。

【太田】優秀な人たちは、“商品を売りません”。どれだけ目の前のお客様を儲けさせてあげることができるかに注力しているので、自分の商品は二の次です。それに対して、売れない私は「これ買ってください」と言って売っていた。そこが大きな違いでした。

【田原】お客さんを儲けさせるって、具体的にどうするの?

【太田】販売促進のアイデアを出したり、集客のお手伝いをしたりしていました。経営コンサルティングのミニ版です。

【田原】でも、それでうまくいくのかな。じつは広告代理店の電通もコンサルティングに乗り出して失敗したことがある。お客の利益を第一に考えれば、広告費を削ったほうがいいケースもあるはずです。でも電通の目的は広告を売ることだから、「広告減らしましょう」とは言えなかった。そこでインチキじゃないかとお客さんに思われてうまくいかなかった。リクルートは、どうして失敗しなかったのですか。

【太田】最後までコミットする力が強いからでしょうか。商売人魂を徹底的に教わるので、広告を売るという意識は強かったと思います。経営者視点でお客様の状況を捉え、徹底したロジックを積み上げる。すると必然的にわが社のサービスは必要不可欠だと自信を持って提案し続けられるのです。そのあたりが違ったのかもしれません。

【田原】みなさん、ほんとうにコンサルティングができているのですか。コンサルタントのプロとして活躍するには10年ぐらいかかるといいますよ。

【太田】おっしゃるとおりで、本物のコンサルタントというよりも、その手前で、女性目線や生活者視点のプロフェッショナルという形でのお手伝いです。