「3代目もご一緒された」と表現
対馬丸の生存者で元館長の高良政勝さんが、感慨深げに語っていた言葉が印象的だった。
2代にわたる“天皇”のお出ましを光栄と受け止め、両陛下のお子さまの敬宮殿下がご一緒されたことを、「3代目」と表現した。
皇室にとって大切な「精神」の継承という意味では、次の天皇として敬宮殿下以外はにわかに想像しにくい。それが高良さんに限らず、普通の国民に広く共有されている当たり前の感覚だろう。
それがこのような場面で、図らずもテレビカメラによって大きく映し出されたのは、貴重な瞬間だった。
なお高良さんは、天皇陛下が以前にお会いした自分のことを覚えていて下さったことに、「感謝しています」と発言していた。ところがテレビ番組の字幕では、間違って「感心しています」という“上から目線”の表現になっていたのは、残念だ。
ご一家で「かりゆしウェア」をご着用
この後、ご一家は首里城公園にご移動され、沖縄の「かりゆしウェア」で沖縄国際海洋博覧会50周年記念事業の企画展をご覧になり、さらに首里城正殿の復元途中の様子を視察された。
先に全国植樹祭へのお出ましを見合わせられた皇后陛下のご体調などを考えると、ご負担が増える首里城公園でのスケジュールをあえて入れる必要があったのか、どうか。宮内庁の説明では、今回のご訪問は海洋博50周年企画展がおもな目的とされている。しかし、ご一家のなさりようを拝見すれば「慰霊の旅」そのもの。役所的な形式主義の弊害を感じさせた。
ただしこの時に、ご一家がお召しになったかりゆしウェアのシャツとワンピースは、販売元のウェブサイトでたちまち完売になるという人気ぶりだった。
昭和天皇から伝えられる精神を受け継ぐ
この間、5日午前に、ご一家の沖縄ご訪問に反対する20人ほどの小さな集団が、抗議活動の中で対馬丸記念館に向かおうとして、その中の1人が警官の顔を殴って逮捕される事件があった。そのメンバーが「戦争反対!」などと叫んでいる様子が映し出されていた。
両陛下はご訪問のご感想として、「平和の尊さを心に刻み、平和への願いを新たにしていきたいと思います」とおっしゃっている。これは、敬宮殿下も同じお気持ちだろう。
殿下は、中学時代の修学旅行で初めて広島を訪れられた時の感想文で、「『平和』は、人任せにするのではなく、1人ひとりの思いや責任ある行動で築き上げていくもの」と書いておられた。
昭和天皇から伝えられてきた精神を、天皇陛下から直接に受け継ぐ皇族は、令和の皇室において敬宮殿下ただお1方しかおられない。その当たり前の事実が、ご一家おそろいの慰霊の旅によって、誰にでも分かる目に見える形で明らかになった。
おびただしい数の提灯に応えて、かなたで優しく揺れる「3つの提灯」は、まさにその象徴的な光景だろう。

