戦没者慰霊の「4つの日」
それだけではなく、戦没者への慰霊のために日本人が忘れてはならない「4つの日」として、終戦記念日(8月15日)、広島原爆投下の日(8月6日)、長崎原爆投下の日(8月9日)とともに、沖縄戦で日本軍が玉砕し、組織的な戦闘が終結した6月23日(沖縄県慰霊の日)には、ご一家で黙禱を欠かさずに続けてこられた。
天皇として最後に迎えられた誕生日に際しての記者会見(平成30年[2018年])でも、次のようにおっしゃっている。
「沖縄の人々が耐え続けた犠牲に心を寄せていくとの私どもの思いは、これからも変わることはありません」と。
そこには、ついに沖縄行幸を果たせないまま崩御された、昭和天皇のご遺志を受け継ぐお気持ちも強くおありに違いない。
昭和天皇、上皇陛下から天皇陛下、愛子さまへ
これに対して、最初のお出ましでは火炎ビンが投げつけられるなどの事件があったものの、上皇陛下のご真情が伝わるにつれて、沖縄での天皇・皇室への受け止め方も大きく転換していった。そのことをよく示したのが平成5年(1993年)に沖縄県で全国植樹祭があり、上皇上皇后両陛下が天皇、皇后として初めてお出ましになった時の出来事だろう。
この時は、会場に集まった人々が日の丸の小旗を振って両陛下をお迎えするという、他の植樹祭でも見かけない光景が展開された。
天皇陛下は、沖縄に寄せられた上皇陛下のお気持ちを、誰よりもまっすぐに受け継いでおられる。現に陛下は、沖縄へは今回で7回目のご訪問になる。
昭和62年(1987年)が最初で、沖縄戦の悲惨な実態について沖縄出身の専門家から繰り返し説明を受けられた上でのご訪問だった。ご結婚4年後の平成9年(1997年)には皇后陛下とご一緒に訪れておられる。
沖縄の本土復帰50年の令和4年(2022年)には「国民文化祭」などの開会式へのご臨席のために、即位後初めて沖縄を訪れられた。皇后陛下は3回目、敬宮殿下は初めてのご訪問だ。
ご一家そろってのお出ましは、沖縄県民にとってこの上ない喜びだろう。また、昭和天皇の霊も、さぞかしお喜びではないだろうか。
琉球百合を供えられた
この度のご一家の沖縄ご訪問のおもなご日程は以下の通りだった。
4日は、糸満市の平和祈念公園にある国立沖縄戦没者墓苑を訪れられた。強めの風が吹く中を、18万人以上のご遺骨が納められた納骨堂の前に琉球百合(リュウキュウユリ。別にテッポウユリとも)などの花を供えられて、死者の霊を慰められた。
お3方が、おそろいで納骨堂前で深々と頭を下げられるお姿は、拝見する者の心まで清められると思えるほど、美しかった。ご拝礼後、予定にはなかったが、その場にいたご遺族らと30分ほども懇談の時間を取られた。
