本書を選んだ理由の1つは著者の話題性である。しかし、私が本書を取り上げる理由はもう1つある。著者への同情だ。罪を犯したことではなく、彼に対する日本の経済界の憎しみの視線と態度に反発を覚えたのだ。ネクタイを締めない彼を傲慢ととらえたり、若者が犯しやすい過ちを容赦なく攻撃する。それでは日本の若者が成長できなくなるよ、という私の思いを伝えたかった。

時間の密度が極端に薄い囚人の身でも彼の心はビジネスの戦場にある。スタッフの力を借りてブログを書き、最初から「書籍にフィットする企画」と位置付けていた。刑務所でも金持ちは金持ちの思考パターンと行動パターンで行動を起こすのだ。本人もそれを得意げに披露する。本書は「おそらく世界でも稀な、刑務所内から発信したビジネスガイド」で、「私のような境遇い人たちのとても真っ当な欲求」を「不謹慎」と見て「無言の圧力」をかける日本社会に矛先を向けて書かれている。「くだらない圧力なんて、無視してしまえ!」と彼らしい応援歌を若者たちに送る。

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