営業最高時速320キロメートルを実現させた新幹線は、世界的に高い信頼と評価を得てきた。本書は日本の高度な鉄道技術を通して、最先端のテクノロジーの本質をわかりやすく伝えてくれる。昨今の鉄道をめぐる経済性・安全性・快適性という3つの高度な要求に、わが国の理系頭脳はどう応えたのだろうか。
著者は東大工学部を卒業後に日本国有鉄道へ入社したエンジニアで、日本の鉄道技術を支えてきた第一人者だ。現在は世界中で鉄道コンサルティングを行いながら月刊「鉄道ジャーナル」に連載を持つ才人でもある。本書に見られる明快な筆の運びは、評者のような鉄道の素人にもその魅力を存分に伝えてくれる。
鉄道の技術は、地震や台風などの自然災害とヒューマンエラー両方との戦いの場にある。折しも今年から10年をかけて、新幹線を走らせながら高架橋の補強工事などが始まった。たとえば、第3章「安全性を支える技術」では、揺れる大地を疾走する高速鉄道を守る「ユレダス」の解説がある。地震は通常大きな揺れの前にP波と呼ばれる小さな揺れが観測される。そのP波を検知してから大きな揺れがくるまで何ができるかが勝負なのだ。
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