※本稿は、松居温子『9割捨てて成果と自由を手に入れる ドイツ人の時間の使い方』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
余白を埋めたい日本人、余白をつくりたいドイツ人
日本人が「どれも大事、全部やる」という思考になってしまう原因の1つに、「余白」を怖がる性質があると思います。
日本人の場合、予定が詰まっていることに安心する人が少なくありません。朝から晩まで予定や「やること」で詰まったスケジュールを見て、「今日も頑張った」と感じているのでしょう。端的にいうと、余白の時間があると落ち着かない。余白ができるだけないように、スケジュールを埋めようとしてしまいます。
しかし、ドイツ人は違います。どうにかして余白の時間をキープしようとします。
スケジュールに白い箇所がたくさんあっても、まったく心配しません。そして、時間に余白ができた時には、普段できないところまで手を伸ばして仕事をします。
たとえば、これはうちの留学生から聞いた話ですが、ホテルの客室クリーニングの業務の際に、時間がない時にはできないような部屋の縁の上の埃取りを、余白の時間ができた時に行っているそうです。普段できないことを行うことで、余白の時間を有効活用しています。
フレックスタイム制なら7~8時に業務開始
また、ドイツ人は朝から活動する人がとても多く、朝の時間を有効に使います。フレックスタイム制で勤務時間が選べる環境なら、早朝からの勤務を選択する人が多く、7~8時には業務を開始します。そして、午後にくつろげる時間を確保して、好きなことに使うのです。
仕事は仕事、自由な時間は自由な時間、としっかり線引きをしていることもあり、終業後の予定をあらかじめ入れてしまう人も多いです。そのため、仕事が終わるとすぐに退社します。もともと残業するという前提で働いていません。
だからこそ、時間内に仕事を終わらせるために、なるべく余白を確保しておくのです。
日本人は、「残業するからいいや」と、ついつい残業を見越して仕事をしてしまいがちです。パッと見でも勤務時間内に終わらない量の作業があるにもかかわらず、日中は打ち合わせなどの予定を詰め込んで、1人でできる作業は残業して終わらせようとします。これでは、遅くまで帰れないことになってしまい、朝の時間を有効活用することも難しくなります。
「余白」を埋めようとしてしまうために、「やるべきこと」が増えていくのです。
あえて余白を常につくっておくことで、残業を前提とした仕事の進め方にならなくて済むようになります。
毎日残業を見越して仕事をしているあなたが週に1~2日からでも残業のない日をつくれるようになったら、その日の終業後の時間が自分の自由時間になるのです。

