営業力を鍛えるには、どのような本を読めばいいのか。若い人には基礎を学べるものを勧めることが多いが、読んでほしいのは営業本だけではない。たとえば『企画書は1行』。営業研修で5つの商品を並べて、「1つを選び、僕に1万円で売ってください。納得したら買います」という訓練をやるが、商品コンセプトをつかんで一言で表現する力は、企画の本質を端的に伝える力に通じる。『コンサルタントの「質問力」』で質問力も磨いてほしい。売れない営業は商品説明ばかりして、お客様と相対する関係をつくってしまう。お客様の横に寄り添う関係を構築するには、質問によって人となりを理解し、共感を生み出していく必要がある。

『企画書は1行』野地秩嘉/光文社新書
実現に至る企画書には、企画意図が相手に1行、または1つの言葉で伝わるという共通点がある。トヨタ、ユニクロなどの事例から、ヒット仕掛け人たちの発想法に迫る。

『コンサルタントの「質問力」』野口吉昭/PHPビジネス新書
人と会話するときの思考の流れと質問のテクニックを、人気コンサルタントが解説。「仮説力」「本質力」「シナリオ力」の3つの視点から、質問力を解き明かしていく。

管理職には『野村再生工場』を勧めている。ピッチャーにも、バッターの癖を意識して投げたほうがいい投手と、相手を気にせず自分の投球に徹したほうがいい投手がいる。著者の野村元監督は選手のタイプに合わせて指導法を変えたが、営業も同じだ。部下の指導に悩む営業マネジャーにぜひ読んでほしい。

(構成=村上 敬 撮影=澁谷高晴)
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