簡単にいえば、商品やサービスを購買するよう消費者にうながすマーケティングの本質は人間を知ること。だから、小説や映画などもよい教材になる。そこでお勧めなのが、戦後の復興期から高度成長期を舞台にした漫画の『サザエさん』。いまの新興国の人々の欲求や心理を推測し共感するのに役立つ。

『サザエさん』長谷川町子/朝日文庫
戦後復興期~高度成長期の庶民の暮らしぶりを、4コマ漫画のなかで生き生きと描いている。また、当時の日本と似通っている新興国の日常を知る手がかりにもなる

大局的にマーケティングそのものの基礎を学ぶのなら、『コトラーのマーケティング入門』は必読本だ。世界中のマーケティング関係者が読んでおり、この分野に携わる者同士が理解し合うための「共通言語」を習得できる。さらに、マーケティングの投資利益率の明確化や顧客管理の重要性を教えてくれる『ドン・シュルツの統合マーケティング』も併読しておきたい。

『コトラーのマーケティング入門』
フィリップ・コトラーほか/ピアソン・エデュケーション
初めてマーケティングを学ぶ学生やビジネスマンのために世界的権威が著した入門書。マーケティングのあらゆるテーマが整理されており、必読の書といえる。

『ドン・シュルツの統合マーケティング』ドン・シュルツほか/ダイヤモンド社
次世代のマーケティング理論である「統合マーケティング」を学ぶ格好の一冊。個々の顧客に対応していくダイレクトマーケティング手法の神髄が詰まっている。