拙著『売り方は類人猿が知っている』では、人間の消費活動が必ずしも合理的でないことを、神経科学や進化心理学の最新研究を踏まえて論証した。一方、『影響力の武器』は、顧客に「買わせる」ためのテクニックを、心理学者が実際に社会実験をして解明したものである。

『売り方は類人猿が知っている』ルディー和子/日本経済新聞出版社
人類の消費心理はなんと数百万年前から変わらなかったといったら、誰もが驚くはず。神経科学などの最新研究に基づきながら、現代のマーケティングの世界を紹介する。

『影響力の武器(第2版)』ロバート・B・チャルディーニ/誠信書房
どうしてその商品を買ってしまったのか? セールスマンや広告の巧妙なテクニックを分析しながら、人間が購買を決定するまでの心の動きを、社会心理学の立場から分析。

『スモールワールド・ネットワーク』ダンカン・ワッツ/阪急コミュニケーションズ
社会の全構成員が実は緊密な関係でつながっているのだという「スモールワールド理論」。マーケティングに必要不可欠とされる、その最新のネットワーク理論を学べる。

『ティッピング・ポイント』マルコム・グラッドウェル/飛鳥新社
「ティッピング・ポイント」とは、商品やある社会的な現象が世間に一気に広がりだす臨界点のこと。具体的事例の分析を行い、「流行」が生まれていくメカニズムを解明する。

『「欲望」と資本主義』佐伯啓思/講談社現代新書
バブルはなぜ起きたのか。2000年代初頭の「情報資本主義」とは何だったのか……。膨張を続ける消費社会に警鐘を鳴らす。マーケティングを見つめ直すのに役立つ。

『繁栄』マット・リドレー/早川書房
人類誕生からの歴史をたどりながら、経済が発展してきたメカニズムを考察。そして、人間社会はたゆまぬイノベーションによってこれからも進歩し続けると主張する。

『その数学が戦略を決める』イアン・エアーズ/文春文庫
出会い系サイトの相性診断から政府の政策決定まで、いまやあらゆる分野で大量なデータ分析が意思決定に活用されている。その実態と危険性についてリポートする。

マーケティング評論家 ルディー和子
国際基督教大学卒業。上智大学国際部大学院経営経済修士課程修了。米化粧品会社のマーケティング・マネジャー、タイム・インクのダイレクトマーケティング本部長を経て、現職。日本ダイレクトマーケティング学会副会長。
(構成=野澤正毅 撮影=南雲一男)
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