最後に「リストラ余力」「給与上昇期待度」を見ていこう。全体の結論は、多少のリストラはあれど雇用はある程度守られるが、給与が上昇する可能性はきわめて低いということだ。

世界経済には暗雲が漂っているが、それでも、国内企業は生き残りをかけて海外に向かう。製造業だけでなく、内需型の小売や外食、サービス業も同様だ。ただし、海外での稼ぎは海外での再投資に向かうのが基本。国内の従業員給与に回る可能性は低い。雇用は維持されても、国内従業員の年収アップは期待できない、ということだ。グループ従業員は増えても、国内は減少傾向の企業が多く、リストラ余力も少なくなりつつあるのが現実である。

利益率40%強のファナックに学べ!

経済環境が波乱続きのなかで、健闘している企業も少なくない。その代表が産業ロボットや工作機械の頭脳に相当するNC(数値制御装置)を手がけているファナックである。

同社が過去6期に計上した当期純利益の合計は約6300億円。同期間の投資CFの合計出金超過額は1400億円だったことから、投資の4.5倍の利益を確保したことになる。リーマンショックで落ち込んだ売上高も順調に回復、手持ち現金も伸張させている。

売上高営業利益率は、製造業にもかかわらず40%強。同数値が高いことで定評のあるキヤノンですら10%をわずかに超える程度であり、驚異的といっていいだろう。自己資本比率にいたっては、借入金がないどころか負債がほぼゼロを意味する90%に迫る。

「安定性」「稼ぐ力」でほぼ満点に近い評価。従業員給与も上昇傾向。工場の海外移転が加速する流れにあって、国内工場で生産し、海外で稼ぐのもファナックの特筆すべき点である。

同社をベンチマークにして、あとに続く企業が多数登場することを待ち望みたいところだ。

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