「クラファン」で集まった支援額
【篠田】最初は国への追加予算の打診や企業協賛の模索をしましたが、運営の基本部分を支援していただくのは難しく、結果的に「クラファンしかない」という結論に至ったのです。
2023年8月7日に開始したところ、1日で目標1億円を突破。その後も支援が広がり、最終的に9億円以上ものご寄付をいただきました。支援者はのべ5万人を超えています。
【星野】国立施設としては異例の取り組みですが、ここまで反響が大きいのは想像外だったのでは?
【篠田】まったく想像を超えていました。私自身も感激すると同時に、これほど多くの方が科博を支援してくださるのか、と驚きました。
今後は、集まったご支援をもとに「標本の適切な保管や研究機材の確保」に加え、「全国の科学系博物館や研究者との連携強化」にも活用したいと考えています。私たちが掲げた「地球の宝を守る」というビジョンを、単に科博だけでなく、広く共有していくのが使命だと思っています。
【星野】短期的な救済策だけでなく、長期的に博物館の未来につなげていくわけですね。
【篠田】クラファンはあくまで一時的な手段ですし、国立の博物館として安定財源を確保する必要もあります。ですが、多くの方々の応援が「見える形」で示されたことは大きな力になります。今後とも研究と普及活動を充実させ、日本列島の自然史や人類史の解明に、よりいっそう取り組んでいきます。(後編に続く)