「老後破産が起こりかねない」リタイア後の13年で、貯蓄が半減

ここからは少し、両親との相談の一部をご紹介していく。

【畠中】次女さんは、障害年金を貯蓄されていますか?

【母親】それほどお金を使う子ではないので、ある程度は口座に残していると思います。

【畠中】できれば、次女さんの口座にいくらくらい障害年金が残っているのかを確認してほしいのですが、可能でしょうか?

【母親】今まで、次女とお金の話をしたことがないので難しいのですが、タイミングを見計らって聞いてみます。

【畠中】次女さんは障害年金をある程度貯めておいてもらわないと、親亡き後の生活が厳しいと思います。自由に使わせるのは、将来のリスクにつながることを認識してもらう必要がありますね。そして、次女さんより問題が大きい長女さんのことですが、長女さんとは、話をしたり、食事を一緒にしたりすることはできていますか?

【母親】この10年くらいは、多少の会話はできていますし、食事も一緒に取っています。ただ、結婚や彼氏など、長女が嫌う話題がテレビから流れてきたりすると、いきなりキレて部屋に戻ったりしていますので、一般的なご家庭とは関係性が異なると感じています。

【畠中】長女さんにとっての地雷を踏まないように、ビクビクしながら暮らされているわけですね。ただ、今のままの暮らしを続けていると、あと13~15年くらいで貯蓄が底を突いてしまいます。ご両親とも現在70代後半ですが、どちらかがご存命のうちに、老後破産が起こりかねない状況です。そのあたりの危機感について、ご夫婦ではどのように認識されていますか?

「食費はなぜ、13万円もかかっているんですか?」

【父親】60歳で退職金を受け取り、65歳まで働いていたので、そこそこ貯蓄もできたと思っていました。そのため年金生活に入ってから、これほど早く、貯蓄が減るとは思ってもいませんでした。長女のこづかいを減らしたいのはやまやまですが、行動を改めてもらうような話をしようとすると、いきなり別人のようになってキレてしまうので、なかなか話を進められない状況で困っています」

【畠中】長女さんと話し合うとしても時間は相当かかるはずですので、まずは親側ができる節約を実行しましょう。食費はなぜ、13万円もかかっているんですか?

【母親】長女も次女も偏食でして、親とは別メニューにすることが多いんです。また、スイーツなどをある程度冷蔵庫に入れておかないと、長女の機嫌が悪くなるので、つい多めに買ったりしています。

【畠中】食費が多い理由はわかりましたが、親亡き後は今のようにはいかないですよね。2人とも、たとえばひとり2万5000円などのお金を食費予算として渡して、自分たちで食事を賄ってもらうように促してはいかがでしょう。お子さんたちの顔色をうかがわず、「もう決めたことだから、親はご飯を作りません」と強く言い聞かせることも大切です。

Uber Eatsの配達員
写真=iStock.com/Ceri Breeze
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