ご飯作らないと言ったら…「娘たちがキレたりしないでしょうか」

【母親】そんなことをしたら、娘たちがキレたりしないでしょうか。

【畠中】キレるかもしれませんが、キレることに怯えて、いつまでも言いなりになっているほうが、娘さんたちにとっては良くない状況です。たとえば食費は娘さん2人で5万円、ご両親は2人で4万円の合計9万円に減らすことから始めてもらえませんか。年金暮らしのご家庭で、夫婦の食費予算が4万円というのは、よくあるケースですので。

【母親】そのほかの費目で、減らしたほうが良いものはありますか?

【畠中】日用品の月2万円も、年金暮らしでは多いですね。この金額の中には、長女さんの支出も含まれていますか。

【母親】はい、長女がお皿やら、カトラリーといった生活用品をよく買ってきます。買うたびに請求されていますが、お皿などはこれ以上増えても困るので、買わないようには言っているんですが。

【畠中】今さらお皿やカトラリーを増やしても、仕方がないと思うんです。もしほしい生活用品があるのなら、「食費の中でやりくりして買ってね」というのが、順当ですね。そして、1日でも早く、何とかしたいのが長女さんのおこづかいですが、(現状の5万~7万円から)1万~1万5000円くらいに減らせると、貯蓄が減るペースがかなり緩やかになります。その話し合いは不可能でしょうか。

【父親・母親】…………。

娘たちの理解を得るか、生活保護の道を模索するか

米田家のように、親に対して強い恨みを持っている場合、残念ながら常識的なアドバイスが通用しないのが通例だ。米田家は、食費や日用品の金額も多いので、まずは生活費の見直しから着手してもらえるように促した。

食費の見直しや長女のこづかいの減額が実現しない場合、親が存命中に貯蓄が底を突く可能性もあるし、最悪、お葬式代すら残らないかもしれない。両親といろいろ話していても、長女と向き合う覚悟が持てるようには思えなかったため、米田家の将来は生活保護の受給も検討しなければならないだろう。

【畠中】今のまま、何も手を打たないと、娘さんたちは生活保護の申請をしなければならないかもしれません。米田さんはご自宅をお持ちですが、米田さんのご自宅の評価額であれば、自宅に住んだまま、生活保護の受給は可能だと思われます。ただ、家賃に当たる住宅扶助はもらえないという仕組みですが、生活保護がスタートすると、固定資産税は免除されます。

【父親】家を持っていても、生活保護は受給できるんですか。

【畠中】居住地の自治体ごとに、家を保有しても良い基準価格(評価額)が決まっているので、その金額以下であれば、生活保護の受給は可能です。ただし、家が基準以下であっても、畑など、他の不動産がある場合は、自宅以外は売却して、そのお金をしばらく生活費に充てることになりますが。

星空を背景にした明かりがともる家
写真=iStock.com/Vi Stadnik
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