当社のボーナスは賞与袋で手渡しするのですが、総務部ではまっさらな賞与袋を1000円で売っています。中身を少し抜いて、誰かに表の金額を書き換えてもらってから、奥さんに渡すというしかけです。私は、賞与袋を買った管理職の名を記録し、昇進で迷ったときの参考にしています。

40代後半からでも経営幹部はめざせます。それにはまず自分自身で「必ず役員になる!」と決めることです。「いつか役員になれるかな……」と考えているようでは、ライバルに勝てるはずがありません。

以前、20代社員を集めて「20年後の組織図」を描かせたことがあります。そのとき「自分は課長になっている」と書いた人は、現在その通りに課長です。「部長になっている」「本部長になっている」と書いた人たちも、例外なくその通りのポジションに就いています。自分で出世の限界を決めてしまうと、それ以上は努力しなくなるのです。だから1日も早く「自分は経営幹部になる!」と決めたほうがいいのです。

ただし同じ取締役でも、経営トップとナンバーツー以下では、求められる資質がまるで違います。

副社長を長く経験しても、優れた社長になるとは限りません。自分で意思決定しないことに慣れてしまうと、うまくいかないケースが多いのです。

会社としては、意思決定するトップと、イエスマンのナンバーツー以下が育ってくれないと困ります。私は「こいつは社長タイプだ」と思えば、何か決めさせる仕事を数多く任せ、意思決定の訓練をさせます。「こいつはナンバーツーだ」と思えば、実行するスピードをつけさせるわけです。

もし40代後半で出世コースから外れている場合はどうしたらよいでしょうか。

組織が大きいほど敗者復活は困難かもしれませんが、いまは過去の延長で考えたら失敗する変革の時代です。実力さえあれば、チャンスは巡ってきます。イエスマンに徹して、社長の決定を忠実かつ迅速に実行する訓練を積んでおきたいものです。むしろ失敗を恐れてチャレンジしないことのほうが問題でしょう。失敗の経験が少ないことは、ビジネス人生では最大の失敗なのです。

武蔵野社長 小山 昇
1989年より現職。赤字続きの会社で経営改革を断行し、2000年、10年に日本経営品質賞受賞。著書に『社長はなぜ、あなたを幹部にしないのか?』など。
(構成=伊田欣司 撮影=上飯坂 真)
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