本書を手にしたとき、数年前に読んだ五木寛之氏の論考「衰退の時代に日本人が持つべき『覚悟』」(中央公論2009年2月号掲載)を思い出した。五木氏は「今、われわれは、衰退の覚悟を決めたうえで、『優雅な縮小』を目指すべきではないでしょうか」と日本人に呼びかける。日本が「モノづくり」でアジア諸国に勝てるとは思わない。知的に尊敬される小国になるべきだ、と。

五木氏は「尊敬される小国」の例としてギリシャやポルトガル、スペインを挙げていた。今は経済危機の嵐に晒されており、実例として納得するのは難しいが、それでも五木氏の着眼点には新鮮さを感じた。

同じく斬新な視点を前提にしつつ、大前氏はさらに受け入れやすい論を展開させていく。「加工貿易立国ニッポン」が出口の見えない隘路に入り込んでいる、と一喝する。20世紀後半の工業国家モデルであまりにも成功しすぎ、そこから抜けられずもがいていることに「本質的な原因」がある、と。

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