あの日から2年が経過した。もう2年、まだ2年だ。毎年この時期になると、東日本大震災を忘れまいとするかのように、多数の書籍が出版される。本書もその中の1冊である。著者は『イントゥルーダー』でサントリーミステリー大賞を受賞した小説家の高嶋哲夫だ。ふだんは小説を読まないのだが、高嶋哲夫のパニック小説だけは別格である。『M8』と『TSUNAMI 津波』は繰り返し読んだ。
『M8』は首都直下地震を想定したフィクションであり、『TSUNAMI 津波』は東海・東南海・南海地震の同時発生を警告した小説だ。それぞれ2004年と05年に出版されている。この2冊を読んだ当時は、小説家の想像力に感嘆したものだが、東日本大震災を経験したあとでは、人間の想像力には恐怖という限界があるのだと知った。実際に福島原発で起こったことは小説でも想定外だったのである。国や東電などの防災担当者がこれらの小説を読んでいたら、東日本大震災の被害はもうすこし小さくてすんだのではないかと悔やまれる。
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