火葬場がいっぱいで予約が取れない
厚生労働省2024年9月に公表した2023年の「人口動態統計(確定数)の概況」によれば、日本の2023年(令和5年)における死亡数は157万6016人で過去最多となった。一方、同年の出生数は72万7288人で、こちらは過去最少だ。
両者の差である人口の「自然増減」は、84万8728人減で、前年から5万437人の減少となり、過去最大の減少となっている。自然増減率(人口1000対)はマイナス7.0で前年(マイナス6.5)から0.5ポイント低下しており、自然増減数・率ともに「17年連続」の減少・低下となっている。少子化社会は多死社会でもある。
少子化の問題はいろいろなところで語られているが、多死社会も問題を抱えている。その一つが大都市部を中心とした火葬場不足だ。筆者自身、この問題を経験した。
1月下旬、東京の多摩地区に住む親類の葬儀があった。亡くなったとの連絡を受けたときは、葬儀の日程が決まらず、後から連絡するということだった。当初は火葬場がいっぱいで予約ができず、結局亡くなった5日後の朝8時半からの告別式・火葬となった。
話を聞くと、菩提寺の僧侶も忙しく、2月上旬(亡くなってから10日後)でないと住職が葬儀を行えないと言われたという。それでは困るので、修行僧でも良いからと頼んで、この日になったと聞かされた。
「縁起の悪い日」にも稼働
亡くなってから火葬まで一週間から10日ほど待たされるケースが後を絶たない。それに伴って遺体の保冷施設不足が起きているとの報道も目に付く。
NHKの報道(「火葬ができない 12日間待ちも “多死社会” 年間死亡者数が過去最多」2023年6月26日付)によれば、政令市の中で最も人口が多い横浜市では2022年度には4カ所ある市営の施設で3万4000件の火葬が行われたが、すぐに予約をとるのは難しく、平均すると5日から6日程度待つという。
この記事では、亡くなった家族の火葬が11日後になると言われた女性を紹介している。それまでの遺体の保管にかかる料金として1日あたりあわせて1万3000円、12日間で15万円以上が追加でかかったという。
また、
かつては、病院等で亡くなると、遺体を自宅に連れて帰り、自宅で葬儀するのが一般的であったが、近年は葬祭場で葬儀をするのが一般的であり、自宅が集合住宅であることも多く、遺体を葬祭場などの施設で安置することも多くなった。