ヤマトホールディングスは、2019年までにノンデリバリーの領域で100の事業を持つことを目標に据え、その構想は「ムカデの足経営」と名付けられている。事業の芽は現場にこそある。「6万人のセールスドライバー」×「トップのご用聞き」によって次々と生まれている新事業を取材した。
経営の屋台骨を支える足を100本に
「一本足打法」から「ムカデの足」へ。
ヤマトグループが経営のあり方を転換しようとしている。ヤマト運輸社長の山内雅喜は「主語の転換」と表現する。
「以前は宅急便が“親分”で、宅急便を増やすことが主語となって、各種サービスを生み出してきました。その結果、宅急便がこけたら、みんなこけてしまう一本足打法になってきた。これを避けるには、複数の足が必要です。ヤマトグループには、情報システム関連のヤマトシステム開発や、倉庫での保管や発送など物流のアウトソーシングを請け負うヤマトロジスティクス等々、多くの企業がありますが、従来は個別に事業を追求する傾向があった。これを転換し、すべての事業が“兄弟”となって、力を合わせて新事業を創出し、お客様の困りごとを解決することを主語にすえる。2005年のホールディングス化もそのためでした」
そのグループ連携の舵取り役として、銀行業界から移ったヤマトホールディングス(HD)社長の木川眞は、「事業を100個つくる」と目標を掲げる。
「われわれのコア事業はこれからも、宅急便のラストワンマイルのネットワークによるデリバリー事業です。創業100周年の19年に向けた『DAN-TOTSU経営計画2019』では、国内宅急便シェアを現在の約42%から50%超に伸ばし、圧倒的な強さを目指します。そのデリバリー事業周辺のノンデリバリーの領域で新事業を創出し、100個の事業を持つ。それがムカデ経営です」