「高齢者医療費の削減」が目的ではない

・手取りは月20万円ほど。半分が毎月飛び、生活はすでにカツカツ(20代女性患者)
・小学生、未就学児の子どもがいる。子どものためのお金を優先させ、治療を断念する可能性もある(30代男性患者)
・ひとり親で、下の子は8歳。両親も兄弟もおらず、子どもの成人まで生きる必要があるが、治療を諦めざるを得なくなる(40代女性患者)
・母は「学生の親」兼「患者」。学費を優先して治療を諦めることで死んだら困る(10代男性・患者家族)

当然ながらSNSでもこの政府方針にたいして批判が沸騰、ネットでの緊急署名活動でも多くの賛同者が名乗りを上げたが、石破首相は1月28日の国会答弁において、方針変更はしない考えを示した。まさに「カネのない病人」には生きる権利は認めないと言っているのと、まったく同じ。石破首相には、悲痛な叫びがまったく聞こえなかったようだ。

私はこれまで、高齢者にかかる医療・介護費を削減するために延命処置を見直すべきなどとする「経済的優生論者」の政治家やインフルエンサーの言説にたいする批判を寄稿してきたが、これらの記事には少なからぬ読者から、若者の負担を減らすため高齢者医療費は削減すべきとの意見が寄せられてきた。だが今回の「改悪」は、実は「高齢者医療費の削減」を主眼としたものではない。