忙しい相手にも聞いてもらえるようになる
「前置きメソッド」の本質は、相手に自分のための「心のスペース」をつくってもらうこと。相手が忙しいときや自分のことでいっぱいいっぱいのときは、どんなすばらしい言葉も、なかなか心に響きません。
しかし、「あなたにしか相談できないことがある」といった相手の自尊心をくすぐるような「前置き」をすると、話をぐっと聞いてもらいやすくなります。たったひと言添えるだけで、相手とのコミュニケーションをスムーズにし、話を聞いてもらえるようになる魅力的なテクニックです。忙しいビジネスシーンやプライベートで困ったときなどに、ぜひ活用してみてください。
「ここまで読んで、伝わる理屈はわかったけど、果たして自分にできるだろうか?」と不安に思った方もいるのではないでしょうか。話し方のクセを完全に直すのは難しいかもしれませんが、心配はいりません。たとえば、修飾語と名詞をつなげる、つまり第1回で紹介したような「青い/海」を「青い海」とつなげるだけで伝わり方がよくなり、あなたの印象がアップします。それだけで、あなたの話を聞いてもらえます。
話し方が変われば、よい成果につながる
本稿で紹介したトレーニングを行って、ふだんの話し方にわずかでも取り入れてみてください。少しずつ、話の伝わり方が変わっていきます。難しく考えないで大丈夫。あなたが伝えたい言葉をひと息で話すだけ。
人間は、本能的に心地よいほうを選ぶ生き物です。ここまでのトレーニングで「コツがわかるとラクに話せるし、自分の声のままでいい」と自分も心地よいことが実感できれば、話し方そのものがいつの間にか変わります。そして、あなた自身がかっこよく、エレガントに周りから思われるようになっていきます。
それが積み重なると、周囲の印象も大きく変わるでしょう。プレゼンやセミナー、ライブ配信、打ち合わせ、面接などの前に、これまで本書で紹介したトレーニングをいくつか練習しましょう。
「自分の声がしっかり伝わった」「自己紹介の後に名前を呼んでもらえた」「商品説明の後の問い合わせが増えた」と感じられれば、自信がつきます。この自信がさらに伝える力を高め、仕事でもプライベートでもよい成果をもたらしてくれるでしょう。