「前置き」してから固有名詞を伝える

まずは、伝わりづらい話し言葉の例を挙げて解説します。

よくある自己紹介の例(名前や会社名を相手に覚えてもらいにくい)
「○○○○と申します。△△社××部で□□を担当しております。どうぞよろしくお願いします」

このような自己紹介をしている人は多いと思いますが、名前を覚えてもらいたいなら、これは損しています。実はこの話し方だと相手は聞く準備ができず、ほとんどの場合、自分の名前や会社名などの「固有名詞」が相手に伝わっていません。サービスや商品名などはなおさらです。そして、伝わっていないところは、名刺が補っているのです。

次のように、「名前は」「会社名は」「担当は」などと「前置き」してから固有名詞を言うと、相手に声を聞き取る準備ができます。すると、名前や会社名が伝わるようになります。では、実際に以下に自分の自己紹介を当てはめて読んでみましょう。

覚えてもらえる自己紹介の例
「私は、○○○○と申します。会社名は、△△社××部で、担当サービスは、□□です。どうぞよろしくお願いします」

さらに、自分の名前や会社名の1文字目は、ふだんより3~10倍強く言いましょう。それにより、聞く側に印象深く伝わり、名前を覚えてもらえます。営業の方であれば、自社の商品やサービスを説明する文章を事前に音読しておくのもオススメです。

特に難しい名称やキーワードはしっかり練習しましょう。何回か音読していると、特定の言葉を噛んだり、発音しにくい音がわかってくるはずです。そこにマークをつけ、注意しながら、くり返し読みましょう。

名刺交換
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです

新商品の紹介も「前置き」してから

では次に、商品紹介の例を挙げます。

よくある営業トークの例(伝わりにくい)
「私たちの会社からスピードマックスという商品が出まして、世界最速なんです」

これも「前置き」がありません。このように、商品名を文章の真ん中に入れる話し方だと、商品名が相手に伝わりづらくなります。伝わりやすくするには、次のようにしましょう。

覚えてもらえる営業トークの例
「新商品が出ました。特徴は〈息継ぎ〉世界最速という点です。商品名は〈息継ぎ〉スピードマックスです」

このように、新商品が出ることを「前置き」し、次に商品名を言います。かつ、特徴を言う前に前置きと息継ぎをして、息継ぎ後の言葉を強調しています。