大人の社会見学:参加者の3分の2は60代以上のシニア

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急増するシニアのツアー参加者の割合(出所:クラブツーリズム調査データ)

シニアの家計支出を調べると、上位項目に必ず入るのが旅行だ。時間的、金銭的なゆとりが多いシニアは、旅行業界の大得意客なのである。なかでも、8年ほど前からシニアをターゲットにした戦略を打ち出し、注目されている旅行会社がクラブツーリズム。2011年度の売上高は過去最高の約1390億円で、2012年度についても2ケタ近い伸びが見込まれている。11年度のツアー参加者(実数)のうち、60代以上が66%と3分の2を占める。

シニアに狙いを定めた理由について、藤浪卓・執行役員営業企画部長は、「目が肥えているのでうるさ型だが、その分、サービスが評価されれば、固定客になってくれるからだ」と説明する。同社のツアー参加者(延べ人数)約500万人のうち8割がリピーターだ。

部門別ではテーマ旅行が成長株。直近2年間で売り上げが12~13%ずつ伸びている。「売り上げ構成比はまだ1割だが今後、3割まで育成する」(藤浪氏)方針だ。テーマ旅行はプロの指導者、解説者も同行するため、参加者の知識、技術が高まる。企画の種類は、スケッチや写真撮影といった芸術系、史跡探訪といった大人の社会見学系、ウオーキングやサイクリングといったスポーツ系などさまざまだ。史跡探訪とウオーキングを組み合わせた「東海道五十三次」を歩く旅は大ヒットした。

目的を選べるテーマ旅行はとりわけ、団塊世代に好評だ。「今の70代以上は旅行経験が少ないので、名所巡りや食べ歩きのセットでも満足してくれたが、それでは旅なれた団塊世代が離れてしまう。その対策の1つがテーマ性という付加価値をつけることだった」と藤浪氏は語る。