行くも地獄、戻るも地獄
すると、フジテレビは反省すれば良いのか。
仮に、「当該社員は会の設定を含め一切関与しておりません」との見解が、調査委員会でも保たれたとして、もう、誰も納得しないに違いない。「第三者の弁護士を中心とした調査委員会」が、そう結論を出したとしても、「お手盛り」や「出来レース」との誹りは免れない。
なぜなら、今回の港社長の会見でも、その見解を続けたからである。一度、撤回し白紙から調べたなら、まだ信憑性は高かったはずなのに、そうしなかったからである。
反対に、「当該社員は会の設定を含め一切関与しておりません」との立場を、調査委員会の調査により否定したらどうか。責任は当該社員には限られない。その上司、さらには、社長の辞任は避けられない。だが、そうした連帯責任を、今回のような会見を開いた港社長が選ぶだろうか。
週刊文春では、港社長も、女性アナウンサーを伴う会食に参加していたと報じられている。「私も調査対象」と述べているものの、記憶をたどったり、記録を調べたりすれば、「調査」するまでもないのではないか。
「人の噂も75日」とばかりに、風が止むのを待つつもりなのかもしれないが、フジテレビへの怒りの高まりをみるかぎり、それもまた楽観的に過ぎよう。
「当該社員」の関与を認めなければ批判は止まず、認めれば、上層部まで一蓮托生になる。「当該社員」がテレビ局の中枢=編成部長だと週刊文春が報じている以上、トカゲの尻尾切りは難しい。
行くも地獄、戻るも地獄ではないか。とすれば、フジテレビ解体の道は、避けられない。今回の会見の意味は、それほどまでに大きい。