社保・税金支払いのための借金総額は約110万円に
今回ご紹介するのは、多額の税金・社会保険料(以下、社保料)の支払いを家計から捻出できず、リボ払いの返済額が約110万円まで膨れ上がった自営業夫婦のケースです。
意外に思われるかもしれませんが、こうした例は決して珍しいことではありません。実際、年収の多寡にかかわらず、税・社保料の支払いに苦しむ個人事業主の方を山ほど見てきました。
各種税金や社保料が給与から天引きされる会社員と違い、個人事業主の方は報酬が支払われた後、各種税金・社保料の支払いは自分で管理しなければなりません。国民年金は定額ですが、国民健康保険や各種税金は、前年度の所得が算定要素のひとつのため毎年変動し、多く稼いだ年の翌年は支払いが多く、稼ぎが少なければ支払いは少なくなります。
長く自営業をやっていれば常識的な話ではあるものの、年数十万円~100万円超に及ぶ支払い分を残しておこうという意識が抜けてしまう方は、思いのほか多いのです。
11歳の息子さんと都内の賃貸マンションに3人で暮らす自営業夫婦、鈴木リョウジさん(運送業・52歳)、キョウコさん(イラストレーター・49歳)もその一例でした。
手取り月収は、リョウジさんが33万円、キョウコさんが17万円で、合わせて50万円。自営業ですのでボーナスはなく、預貯金残高は70万円ほどでした。
初回相談時のお悩みは、「家計管理がうまくできない」といったよくある話でしたが、掘り下げて聞くと、次のような事情を抱えていることが分かりました。
「毎月生活費だけで赤字ですし、そこに国民年金や国民健康保険の支払いがあるので大赤字。ボーナスもないので、クレジットカード払いにしても支払いの目途が立たず、当然ながら貯金が全然できません。そんな状態で、税金の支払いがまとめてきたりすると慌ててしまいます。夫婦合わせると、1年間の税金・社会保険料は総額100万円以上。毎年のことながら、計画を立てられません」(リョウジさん、以下同)
それでどう工面しているかと言うと、「ない袖は振れないので、やむなくクレジットカードのリボ払い24回分割コースで乗り切っています」と、リョウジさん。
「現時点の借り入れ残高ですか? 約110万円でした。いい加減、クレジットカード頼みの自転車操業から脱出したいと思っているんです。でも、返済額を含めると毎月赤字続きで……。一体、どうしたらいいのでしょうか?」