メンタル疾患の入り口に…
⑤ 扁桃体が肥大する
ネガティブな感情や体験が多い人は、そうでない人と比べて扁桃体が肥大している、という研究があります。
これは、私は非常に恐ろしいデータだと思いました。
扁桃体は脳の警報装置です。生き延びるために、身に危険を及ぼすものを察知する役割があります。
この扁桃体、「バカヤロー!」「死ね!」といった言葉を聞くだけでなく、自分で話しても興奮するのです。扁桃体は、毎日訓練されるので、肥大します。結果として、「小さな不安」にも反応するようになり、常に「不安」や「恐怖」を引き起こします。いつも心配なことが頭から離れなくなるのです。
他人の悪いところがさらに目について、悪口が言いたくなる。他人の些細な言動にイラッとしたり、怒りが湧いてくる。感情もコントロールできず、不安定になります。こうなると、ほぼメンタル疾患の入り口です。
悪口を相殺するには
⑥ 悪口が感謝の効果を相殺する
ノースカロライナ大学のフレドリクソン教授は、ポジティブ感情とネガティブ感情の比率は3対1が理想的であると言います。この比率を維持することで自己成長につながり、幸福感が高まると考えられています。
別な研究では、離婚しないカップルのポジティブ・ネガティブ比は、5対1以上。業績の良い企業、チームでのポジティブ・ネガティブ比は、6対1以上と言われます。ポジティブ・ネガティブ比の考え方は、幸福心理学の中でも非常に重要な理論となっています。
「ネガティブ言葉」を1回言うと、「ポジティブ言葉」を3回言って、ようやくバランスがとれるのです。つまり、「悪口」を1回言うと、「ありがとう」を3回言わないといけない。悪口が感謝の効果を相殺するのです。
バランスをとるだけでなく、感謝の効果を十分に出すためには、「悪口」1回に対して、「ありがとう」を5回言う必要がある。「悪口」を1日10回言う人は、「ありがとう」を50回以上言わないといけない。どうみても無理です。
ですから、他人への悪口、誹謗、中傷、あるいは「自分はダメだ」「自分には無理」といったネガティブな言葉は、極力、言うべきではないのです。
本書『感謝脳』を読んで実践しても、「効果が出ません」という人は必ずいると思います。そういう人は、悪口やネガティブ言葉をたくさん言っているはずです。悪口が多い人には、感謝の効果は出ないのです。
悪口を言うと寿命が縮まる。「ありがとう」と言うと寿命が伸びる。あなたは、どちらの言葉を発したいですか?