ストレスを増やしてしまう
③ 悪口は、ストレス解消にならない
居酒屋に行くと、会社員による、上司や会社の悪口大会が開かれています。午後のカフェにいくと、ママ友の皆さんが、姑や夫の悪口大会を開いています。悪口が大好きな人は多いですね。
悪口が好きな人は、次のように言います。
「悪口を言うとスッキリする。悪口はストレス発散になる」
しかし、悪口を言っても、ストレス発散にはなりません。科学的には、完全に間違いです。
なぜならば、悪口を言うと、ストレスホルモンであるコルチゾールが高まるからです。
ストレス発散になるのなら、コルチゾール値は下がるはずです。たとえば、有酸素運動を30分すると、コルチゾールが高い人も、その値が正常値まで下がります。
前述のように、悪口を言うとアドレナリンが出ます。たとえば、ボクシングをしている人や喧嘩をしている人も、アドレナリンが出ます。戦闘状態になると、アドレナリンを大量に分泌します。
悪口とは「言葉による攻撃」です。悪口を言っているとき、脳は「戦闘状態」となり、アドレナリンを分泌するのです。アドレナリンによる高揚感は「楽しい」と認識されます。つまり、脳の過剰な興奮を「ストレス解消」と誤認するのです。
アドレナリンもコルチゾールも、ストレス状況で分泌されるストレスホルモンです。
悪口で、その両方が分泌されますから、「悪口を言う」ことは、ストレスを減らすことではなく、間違いなくストレスを増やすのです。
悪口を言うのは言われるのと同じ
④ 他人への悪口は、自分に悪影響を及ぼす
あなたは悪口を言われたら、どんな気分になりますか。とてもショックを受け、ものすごく嫌な気分になるはずです。
オランダのユトレヒト大学、ライデン大学の興味深い研究があります。被験者には、「賛辞」「侮辱」「中立」の言葉を発してもらい、その間の脳波の変化を測定しました。「リンダは最悪」「ポーラは嘘つき」のように、主語に名前を入れて発声してもらいます。
実験の結果、侮辱の言葉が自分に向けられたものか、他人に向けられたものかにかかわらず、脳波に同じ反応が現れたのです。
ということは、主語は関係ないのです。リンダが発した「リンダは最悪」と「ポーラは嘘つき」では、同じ悪影響が脳で起きているのです。
つまり、侮辱の言葉、ネガティブな言葉を発すること自体が、脳への害であるということ。他人の悪口を言っているつもりで、自分が悪口を言われているのと同じ悪影響を自分自身が受けてしまうのです。