わざわざ「質問してもらうための指導」をする塾もある
例えば、石川県を中心に40年近くにわたって「東大セミナー」という学習塾を複数校展開している会社では、付箋を使った生徒対応・質問対応を行っているそうです。今回の記事を書くにあたり尋ねたところ、取締役の川本雄介氏は、このように語っていました。
「うちの塾では、テキストやノートに、さまざまな種類の付箋を貼るように指導します。その中でも、計算ミスやケアレスミスをしてしまった箇所には“中くらいの付箋”を、もう一度解き直したいと思ったところには“小さな付箋”を貼るように指導します。
これは生徒側の勉強に役立てるという面もあるのですが、一番は先生側が生徒に対して話しかけやすくなるというメリットがあるからです。質問をしに来た生徒に『他にはどんなところで間違えちゃったの?』と聞いたり、なかなか質問に来ない生徒に対して『ここはどうして間違えたの?』と聞いたりすることができるようになるんです」
この学習塾では、「生徒自身で調べる・考える・整理する」という力を育成したうえで、質問に来る生徒に追加質問ができるような指導をしたり、質問に来ない生徒に対しても質問を促すような環境を整えているそうです。やはり長年にわたり生徒から評価されるような塾というのは、こうしたポイントが優れている場合が多いと考えられます。
「生徒の質問に、熱心に応じているか」で見分ける
では、今回教室を突然閉鎖した「ニチガク」はどうだったのか? この記事を書くにあたり、現在確認できる範囲で塾の口コミサイトをいくつか確認してみました。意外にもそこまで悪い評価ばかりではなく、「講師の質が高かった」とか「自習室が綺麗だった」などという高い評価も受けていたようです。
しかし、自分が気になったのが、マイナスの口コミをしている人が、「追加料金が多かった」と口にしていることでした。「志望理由書の添削指導をしてほしいと言ったら追加料金がかかると言われた」などです。
あくまでもこれらの口コミからの推察にしかなりませんが、質問対応の延長線上にあるサービスに関して、一部受講生の満足度が低い様子がうかがえ、課題もあったのではないかと思います。
もちろん、どの情報も信用のしすぎには注意が必要ですが、いい塾やいい予備校なのかを判断する指標のひとつとして、「質問対応」の満足度を見るといいと思います。塾にとっては儲かる部分とは言えない「生徒からの質問」に対して、どれだけ時間とリソースを割いているのかを確認してみてください。保護者間の口コミも大いに参考になるかと思います。
熱心に質問対応をしている先生・チューターが多い塾は実績面からしても安心ですし、逆に、ここに熱量がない先生・チューターが多い塾は、経営的にも指導方針的にも少し懐疑的に思ったほうがいいかもしれません。ぜひ、参考にしてみてください。