学費が高額な医学部に「コスパ良く」進学するにはどうすればいいのか。医学部・獣医学部の専門予備校「東京メディカル学院」の新著『コスパ最強の医学部受験バイブル』(日刊現代)より、一部を紹介する――。
勉強する人の横に聴診器がある
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「年収400万円の家庭」から医学部進学は可能

年収400万円の家庭から子どもを医学部に進学させるなんて、夢のまた夢だと思っていませんか?

たしかに、医学部の学費は高額です。国公立大学の場合、6年間で約350万円ですが、私立大学はその約10倍。半数以上の大学が3000万~4000万円の学費を設定しています。

2024年度の入試データによると、最も安いのは国際医療福祉大学で1850万円、最も高い東京女子医科大学では約4620万円でした。これでは、「なかなか手が届かない」と思うのも無理はありません。

国公立大学の志願倍率は前期試験で約4倍、後期試験では20倍を超える高倍率となっており、非常に「狭き門」です。医学部進学の可能性を広げるために私立大学の併願を検討したくても、学費面を考えると容易ではありません。

このような現実に、医師になる夢を諦めそうになっている方もいるのではないでしょうか。また、子どもの夢を応援したくても、経済的な理由からサポートをためらってしまう親御さんもいるかもしれません。

しかし、諦めてはいけません。

「高額な学費を0円で済ませる方法」が存在するからです。

その方法とは、「地域枠制度」の利用です。

大学によっては、学費が「実質無料」に…

地域枠とは、2008年に国が始めた制度のこと。地域枠を利用することで、医学部を卒業した後、一定期間、医師が不足している地域で働くことを条件に、学費の援助を奨学金として受けることができます。また驚くべきことに、奨学金の金額が、医学部の実際の学費を超える地域もあります。

つまり大学によっては、学費が実質無料になるだけでなく、余った分を生活費に回すこともできるのです。すごい制度だと思いませんか? 地域枠の定員数は年々増加しており、現在では医学生の約1割以上が地域枠で入学しています。

一方で、地域枠という言葉を聞いたことがあっても、正しく理解していない人が多いのも現状です。中には、やっとの思いで医学部に入学したのに、学費が払えず辞めてしまうケースもあります。もし、地域枠についての情報を事前に知っていれば、学費の問題で医学部を諦めたり、中退したりすることなく、医師への道を歩み続けることができたかもしれません。

地域枠は、奨学金制度と組み合わせることで、さらに強力なサポートシステムになります。

※注
地域枠で医学部に進学する際に受け取る奨学金には「返還免除制度」があり、医学部卒業後も返済する必要はありません。
「返還免除制度」とは、卒業後に一定期間、指定された地域で医師として働くことなどを条件に、奨学金の返済が免除される制度です。
たとえば、卒業までに総額3000万円の奨学金を受け取ったとします。この奨学金は、卒業後すぐに返済しなければならないものではありません。代わりに、県が指定する地域で一定期間、医師として働くことが求められます。この条件を満たせば、奨学金の返済は免除されます。さらに、この期間中は通常の給与も満額支払われるので、経済的な不利益はありません。