血液中にいないときもある
NK細胞の特徴③ずっと血液中にいるわけではない
もうひとつ大事なことがあります。それは、たとえ血液中のNK細胞が増えた、あるいは減ったとしても、それが必ずしもからだ全体のNK細胞数や機能を反映しているのではないということです。
NK細胞を含むすべてのリンパ球がそうですが、血液中をパトロールしながら、一時的にリンパ節や脾臓などのリンパ組織に入り、そこでしばらく巡回し、異物に出会わなければ、また血液中に出てきて体中を循環しているのです。
つまり、NK細胞はいつも血液の中にいるのではなくて、リンパ組織に一定期間滞在します。
もしなんらかの理由でリンパ組織におけるNK細胞の滞在時間が長くなれば、血液中のNK細胞数は一時的に減ります。逆に、リンパ組織での滞在時間が短くなれば、その分、血液中でのNK細胞数が一時的に増えます。でも、どちらの場合でも、からだの中のNK細胞の総数は変わっていないのです。
血液中では働きにくい
NK細胞の特徴④血液中ではなくリンパ組織で力を発揮する
さらにもうひとつ重要なポイントとなることがあります。NK細胞がどこで相手を見つけて殺すかというと、血液中ではなくて、リンパ組織であると考えられています。
血液中に入った異物は、リンパ組織に取り込まれ、そこでNK細胞による異物排除反応が起こります。NK細胞が相手を認識する時には、相手の細胞と密着することが必要です。
血液中のように細胞がお互いにばらばらでいる時にはNK細胞は働きにくいのですが、リンパ組織の中で異物の細胞と隣り合った時にはNK細胞がその能力をもっとも強く発揮するのです。
そのことを考えると、血液中におけるNK細胞の数や活性は単なる見かけの数字であって、それが少々増えても減ってもからだ全体には大した影響がないであろうと考えられます。