冬季死亡率がこんなに高い先進国は日本ぐらい

なぜ、比較的温暖な地域の冬季死亡増加率がこんなに高く、北海道や青森県では低いのでしょうか?

それは、高断熱住宅の普及率と密接な関係があると言われています。図表4の左側の日本地図は、都道府県別の高断熱住宅の普及率によって色分けしたものです。そして右側は、冬季死亡増加率を都道府県別に色分けしたものです。

高断熱住宅普及率が高い北海道や東北地方で冬季死亡増加率が低く、高断熱住宅普及率と冬季死亡増加率の間に密接な関係があることがおわかりいただけると思います。

ちなみに、すべての先進国において、現在は冬の死亡率のほうが高いそうです。ただ、冬季死亡率がこんなに高いのは、先進国では地中海沿岸の温暖な気候の数カ国と日本くらいで、他の国では、これほど顕著に冬の死亡率が高いわけではないそうです。どうやら諸外国においても同様の傾向があるようです。

【図表4】断熱住宅普及率と冬季死亡増加率

なぜ暖房をつけているのに足元が寒いのか?

これらのデータを見ていただくと、消費者庁が唱える上記の5つ対策は、もちろん意味はありますが、抜本的な解決策ではないことがおわかりいただけると思います。

抜本的な解決策は、家の中の室温差をなくす高気密・高断熱化なのです。できれば、多くの方々に、家を建て直す、もしくは断熱フルリノベーションを行い、欧米並みの高性能住宅に住んでいただきたいところです。とはいえ、そのためには多額の費用がかかりますから、それが可能な方は限られると思います。

そこで、リーズナブルにある程度、ヒートショックリスクを低減する簡易的な断熱リノベについて、ご説明します。

家の断熱性能を決める最も重要な要素は、窓の性能です。図表5に示すとおり、冬の暖房が発する熱エネルギーのうち、50%は窓から流出します。また、窓の断熱性能が低いと、軽くなって上昇した暖気が冷たい窓に触れて重くなり、足下に下りてきます。この現象をコールドドラフト(図表6)といいます。

靴下
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