共働き、子供の病気、親の介護...どんな理由なら「転勤拒否」できるか

ライフプランやキャリア形成に大きな影響を及ぼす転勤は、大半の人にとって避けたいものでしょう。しかし就業規則で勤務地が「全国転勤あり」となっている場合は、使用者(会社)の配転命令(転勤命令)に従って転勤する必要があります。従わなければ、就業規則違反で懲戒処分や解雇の対象となります。特に日本では、解雇が非常に難しい代わりに、勤務地や就業内容を柔軟に変えて雇用調整を行う傾向があり、それゆえに配転命令を遵守せざるをえないという事情があります。就労時に転勤がないと説明されていたり、労働条件通知書に就業地が限定されていたりしない限り、転勤を拒否するのは難しいでしょう。

空港でキャリーケースを引いて歩くビジネスマン
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一方で、労働契約が転勤含みであっても、配転命令が翻った裁判例があります。

「北海道コカ・コーラボトリング事件」(札幌地裁、1997年7月23日)では、帯広から札幌への転勤を取り消す地裁判決が出ました。勝訴した従業員には、躁うつ病(疑い)の長女に、脳炎の後遺症による精神運動発達遅延を抱えた次女、体調不良の両親がおり、家庭状況を鑑みると配転命令は著しい不利益を課するものと判断されたのです。「ネスレ日本事件」(大阪高裁、2006年4月14日)でも、同居親族が要介護者であったことから、姫路工場から霞ヶ浦工場への配転命令が無効と判断されました。