<「中国式民主主義」の優位性の「裏付け」に? アメリカ政府が尹大統領の行動を強く非難しなかったことが、じわじわと響いていく:マイカ・マッカートニー>
韓国のアメリカ大使館
写真=iStock.com/Mirko Kuzmanovic
韓国・ソウルにあるアメリカ合衆国大使館

韓国で尹錫悦大統領が12月3日夜に「非常戒厳(戒厳令)」を宣言したことで生じた政治的混乱は、この非常戒厳が数時間後に解除されたことにより短期間で収束した。

だが今回の騒動を受けて、韓国の安定性と中国がこの地域で掲げる目標への影響を疑問視する声が上がっている。

5年間の任期の折り返し地点を迎えた尹は、支持率の急落と野党が多数派を占める国会の強い抵抗に直面してきた。

尹は今回の非常戒厳について、北朝鮮に同調する野党議員らが政府を無力化させることを狙った「反国家的な行動」に関与していると非難し、自らの決定を擁護した。野党側はこれを根拠のない権威主義的な主張だと一蹴している。

1980年以来初めてとなった非常戒厳の宣言を受け、韓国の国会はすぐに本会議を開き、同宣言の解除を要求する決議案を可決。尹は4日早朝に非常戒厳の解除を発表した。野党6党の議員は尹による「軍事クーデターの試み」を非難し、国会に尹の弾劾訴追案を提出した。

今回の騒動は、アメリカ式の民主主義が本質的に混乱をはらみ効果的なものではないという中国の論調に「裏付け」を与えるものだ。

中国の当局者たちは頻繁に中国共産党の統治と中国の地政学的ライバルであるアメリカを対比させ、自分たちの中央集権的な統治システムこそ安定しており効果的だと主張している。