「ほめる」「叱る」「見守る」で育てていく
「成果を出し続ける強い職場づくりを目指し、メンバーが安心して、いきいきと仕事に取り組むために、信頼関係を築きながらサポートを行うこと」
職場には「めんどう見役」もある。職場先輩とはまた別で、新人、中途で入った作業者の相談に乗る。生産現場で困った時になんでも聞ける先輩という役割で、職場で距離が近い場所にいる人間が任命される。
作業帽にめんどう見役というタグが付き、それが目印になっている。職場先輩とめんどう見役は新人ひとりにつき、1名が担当する。どちらも新人の世話をする仕事だが、職場先輩にとっては後輩、部下との接し方を学ぶ機会でもある。
そして、めんどう見は後輩、部下に対して「ほめる」「叱る」「見守る」の3つのコミュニケーションで育てていく。
ほめるは部下のやる気を引き出すこと。叱るは調子に乗った部下をいさめること。叱るとは決して怒ったり責めたりすることではない。静かな声でいさめることだ。
見守るはもっとも大事で、後輩や部下の挑戦を見守る。結果を予測し、ダメだった場合は自分が責任を取ると決めて見守る。
「面倒を見る方が言う言葉ではない」
ほめる、叱る、見守るという3つのアクションを起こす時に必要なことは現場に一緒にいて、日々、観察していること。部下の変化に気づいて、その場でほめたり、叱ったり、見守ったりする。
結果だけを見て、すごいねとかそれじゃダメだというのでは相手の心に響かない。見守りのアクションが入っていない。
相手を見守り、様子を観察しているからこそ、相手もまた「こんなところまで見てくれていたのか」と信頼するのである。
そして、部下から信頼されるとは人間力がついたことになる。めんどう見もまた職場先輩と同じで、新人のためばかりではなく、めんどう見を行う先輩が成長する機会だ。
めんどう見については、おやじの河合満はこう言っている。
『あの人には世話になったな。あの人のおかげで今がある』
そう感じた人から出る言葉だ。このことだけは何があっても変えてはいけない。
先輩たちがずっと守ってきたことはこれなんだ」
つまり、先輩が「オレがめんどう見をしてやった」という言葉ではない。後輩、新人が「めんどう見をしてもらってありがたかった」と受け手が感じるものをいう。受け手が先輩に共感し、信頼することが、めんどう見の結果なのである。