契約の際に条件を口約束で決めるのはトラブルの素だ。しかし、書面に残すのが難しい場合もある。ファイナンシャルプランナーの藤原久敏さんは「私も口約束が守られずにモヤモヤした経験はある。トラブルを未然に防ぐには2つの方法があるが、それが利用できない場合には、私が実践しているリカバリー法を利用するのもいい」という――。
顧客と握手をする営業の男性
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1年間だけのつもりで、契約したが…

1年ほど前に、私は自宅のインターネット契約を、某通信会社に乗り換えました。

キャンペーンの料金大幅割引・工事費無料・キャッシュバックなどがかなり魅力的でして、連絡を取ると、「ぜひ、詳細を説明させてください」と、即、営業の方がやってきました。

その説明によると、それらキャンペーンが適用されるのは、映画観放題のサブスクなど、やたらとオプションのついたプランのみとのことでしたが、「1年間だけ継続いただければ、その後は、シンプルなプランに変更いただけますので」と、ドヤ顔でアピールしてきました。

オプション付きプランの料金はかなり高かったのですが(そして、諸々のオプションは私には不要)、1年間だけであれば、すなわち1年後にシンプルプランに変更できるのであれば、諸々のキャンペーンで、かなりお得なのです。

ただ、プラン変更の手続きを忘れてしまうのが不安で、そこを伝えると……

「では1年後に、シンプルプランに自動変更になるように設定しておきますので、ご安心下さい」

と、自信満々で答えました。それならばと、私は契約書にサインをしたのでした。

シンプルプランに自動変更されるはずが…

さて、すでに察しがついた方も多いと思いますが、1年経過後、シンプルプランには変更されていませんでした。契約当初のオプション付きプランのまま、更新されていたのです。

シンプルプランは毎月3000円程度に対し、オプション付きプランは毎月8000円以上ですから、キャンペーンを受けたとしても、2年目以降もオプション付きプランを続けていては大損なのです。

これはどうなっているんだと、コールセンターやチャット相談窓口で問い合わせるも、契約時の状況が伝わらず、埒があきません。そこで直接、店舗へ行って確認をするも、そのときの担当者はすでに退職していたのでした。

そして、代わって担当した方は、「契約が自動的に変更されることは、絶対にない」と、自動変更の約束をキッパリ否定するわけですが、こちらには証拠がないので、それ以上は突っ込むことができません。

結局、2カ月ほど、高額なオプション付きプランが継続してしまいました。

ただ、「担当者の説明に不備があったとすれば、申し訳ない」と、申し訳なさげに何度も謝罪をされ、そして、その場ですぐにシンプルプランに変更してもらったこともあり、幸い、とくに大きなトラブルにはなりませんでした(私には少しモヤモヤが残りましたが)。