口約束で後悔。そして思い出した苦い経験

さて、少々長い前置きでしたが、何を言いたかったかというと、それは、契約の決め手となるような大切な条件は、しっかりと証拠を残しておくべきだったということです。

今回のケースでは、「1年後、自動的にシンプルプランに変更となる」といった内容も契約書に追加してもらうか、さもなくば別途、念書を取ったり、録音したりするなど、何らかの形できちんと残しておくべきだったと反省しきりです。

そして、私自身、今回の失敗であらためて気づいたのが、契約書の内容はしっかり確認するのに、その契約の決め手となるような条件は、わりと口約束で済ますケースは少なくないということです(そして、トラブルになる)。

それは、ビジネスの現場においても、同様です。そして、今回の件をきっかけに、かつての、苦い思い出が蘇ってくるのでした。

書類に印鑑を押す女性
写真=iStock.com/west
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仕事でも口約束で失敗

私がファイナンシャルプランナーとして独立して間もない頃、とある企業にて、マネーセミナー講師の募集があり、意気込んで面談へと行きました。しかし、そこで提示された報酬は1回2000円程度と、驚くほど安いものでした。

ただ、面談にて担当者が言うには、「今回は初回無料セミナーなのでこの報酬なのですが、この初回を担当した方には本編も担当してもらうので、そのときは正規の報酬となります」とのこと。

この説明に、損して得取れと、自身を納得させて、契約書にサインをしました。

しかし初回セミナー終了後、いくら待てども、本編セミナーの講師依頼はありません。

そんな中、新たに刷り上がったセミナーのパンフレットを見ると、なんと本編セミナーは、他の講師が担当となっていたのでした。

私のアンケート結果は決して悪くはなかったので、これはなぜだと担当者に聞くと、「やはり、本編セミナーはベテラン講師が良いということになりまして」との一点張りで、話は平行線。

しかし残念ながら、契約の決め手となった、本編セミナー担当云々については口約束ゆえ、どうすることもできませんでした。

担当者には、「また、次回開催時にはご依頼しますので」と、のらりくらりとかわされ続けるのでした。