夜の読書を続けると明らかに変わるもの

毎日、1時間から2時間、夜のゴールデンタイムを読書に使い、それを3カ月続ける。それだけで、あなたの話し言葉は明らかに「深く」なります。

本を読んでいる人と読んでいない人とでは、話し方が歴然として違います。

まず、語彙の量が全然違います。日頃から本をしっかり読んでいる人は、ボキャブラリーが着実に増えてきます。

そのため、話し方が自然と知的になってくるのです。「いつの間にそんな言い回しを覚えたの?」というくらいに変わります。同時に、話すテンポもてきぱきしてきます。

ただ日常を生きるだけなら、「かわいい」「やばい」など、感覚的な単語を5~10語使うだけでも過ごせてしまいます。実際、SNSでもそのような単語が行き交っていますが、残念ながら、あまり知性を感じません。

語彙の少ないSNSやインターネットの世界から離れて、本の世界で膨大な語彙のシャワーを浴びましょう。

読書
写真=iStock.com/ridvan_celik
※写真はイメージです

読書量が足りない人は書き言葉で話せない

また、本をたくさん読むと「書き言葉で話せるようになる」ということも大きな特徴です。その人が話した音声をそのまま文字に起こしても、しっかりとした文章になっている。そのような話し方ができるようになるのです。

読書量が足りない人は、話した言葉をそのまま文字にすると、主語と述語の関係に大きなねじれが生じることが多くあります。「○○は」から始まった文が、「△△である」と終わることなく、新たな「××は」が入り込んでしまう。

たとえば、野球の解説者が次のような解説をしていたらどうでしょう。

「私は、今のボール、アウトコースにギリギリ入っていましたけどね。私は、今日の審判は少し厳しいですね」

この二つの「私は」はどこに行ってしまったのか、気になりますよね。

これは極端な例ですが、プレゼンでも、学生の研究発表でも、同じように「一つの文に複数の主語が入ってしまう」という例はかなりあります。

齋藤孝『頭のいい人の夜に学ぶ習慣』(ポプラ新書)
齋藤孝『頭のいい人の夜に学ぶ習慣』(ポプラ新書)

「話し言葉がそのまま書き言葉になっている」という話し方は、読書をしている人だけに可能な能力です。活字を見慣れているために、自分の言葉が活字になったところを想像できるのです。

主語と述語の関係がねじれることなく、聞き手にわかりやすく説明できます。ここをねじれた文章で話してしまう人は、読書量が足りません。複雑にものを言おうとして、結果、何も伝わってこないというのが、読書量が足りない人の話し方です。

夜の深い読書を続け、学ぶことで、こうしたことは自然に回避できるようになります。

【関連記事】
東大首席卒業でも「天才」と思ったことはない…山口真由「私が1日19時間以上も勉強し続けた理由」
「バカなの?」「はい論破」…無意識に攻撃を仕掛けてくる人の口を封じる3つの短い"切り返しフレーズ"
「望月の歌」を詠んだ夜は満月ではなかった…NHK大河ですべては描かれない藤原道長が和歌に込めた本当の思い
世界注目の哲学者「AIの内部は回路と電流だけ」…全知全能AIは「知能がなく思考もしていない」と断言する理由
知らないことを「ググる人」は時代遅れ…東大教授が毎日使っている「無料で高性能の検索サービス」