完璧主義を目指す必要はない

たいてい家族から移りますが、この子の場合、親は保菌者ではありませんでした。

感染源をたどっていくと、飼い犬であることがわかりました。北欧生まれの犬で、その犬が歯周病菌を持っていたのです。おそらくは愛犬とのキスでうつされたのでしょう。生きている限り、バイキンを完全にシャットアウトするのは不可能です。

そもそも人間の体には常在菌がいて、菌をゼロにすることはできません。必要以上に減らせば、むしろ抵抗力を失い、かえって病気にかかりやすくなります。体内に菌がいることが問題ではなく、避けるべきは菌が体内で悪さをして病気になることです。

プラークも同じです。歯磨きで100パーセント取り除こうと、1日5回ぐらい磨き、さらに歯間ブラシで磨き残しを取り除けば、ほとんど取り除けるかもしれません。とはいえ、そんな生活は楽しくないでしょう。プラークが多少残っていても、発症しなければ問題ありません。定期的に歯科医院でメンテナンスすれば十分です。

【処方箋】
むし歯菌に神経質になるより、子どもとのスキンシップを大事に

歯並びの悪さには食生活も影響している

【カン違い】
子どもの歯並びが悪いのは遺伝だから仕方がない

遺伝もあるが、口呼吸や食生活も関係している

歯並びが悪いと歯を磨きにくく、磨き残しも出やすくなります。また奥歯に負担がかかり、歯が割れるリスクも高くなります。歯並びの悪い人は、子どもの歯並びも悪いことがあります。そこから「歯並びは遺伝だから仕方ない」と思っている人もいますが、歯並びの悪さは、遺伝以外にも大きな原因があります。

下顎の混雑による歯の位置のずれ
写真=iStock.com/Grandbrothers
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アメリカの歯科医師で、歯と体の健康に関する研究者としても知られるウェストン・プライス博士による、次のような報告があります。

1930年代に世界中の発展途上国の子どもの歯を調べたところ、西洋の食文化が入っている国の子どもは、みんな歯がボロボロだったのです。一方で昔ながらの食文化を続けている国の子どもは、みんな歯並びがきれいで、むし歯もありませんでした。理由は、西洋の食べ物には砂糖がたくさん入っているうえ、軟らかく、顎が発達しにくいものが多いからです。