もうひとつ。まだ歌手としては箸にも棒にもかからないキワモノタレントでしかなかった私に、「自分からちゃんと“私は歌手です”って言いなさい!」と叱咤してくれたのもピーコさんでした。
コロナでなかなか会えなくなり、最後に会ったのが21年の12月。おそらくあれがピーコさんにとって生前最後のテレビ出演だったと思われます。別れ際に「私みたいなこんな老いぼれに、仕事くれてありがとうね!」と、いやみったらしく笑ってくれた時、私もいつか後輩や若い世代に、こんな風に自虐と感謝を伝えられる年寄りになりたいなと思ったのを覚えています。
最後まで攻撃的で頑固で、よく怒って笑って、最後まで人情深く思慮深い、そんな生きざまを貫いたお洒落なオカマでしたこと。
日々、着たい服や美味しいお酒やイイ男を愛しむことには、時間もお金も惜しまなかったピーコさんへの憧憬を胸に、私も「お務め」を果たしていこうと思う次第です。
最後にいちばん好きだったフレーズ。「最近、夜の方はどうですか?」と訊くと、必ずふたりが口を揃えて言う「私たち、ノー・テクニック・イン・ザ・ナイト!」を、改めて皆さんにご紹介して、今週はお開きとさせて頂きます。
当記事は「AERA dot.」からの転載記事です。AERA dot.は『AERA』『週刊朝日』に掲載された話題を、分かりやすくまとめた記事をメインコンテンツにしています。元記事はこちら