商品やサービスの価値を魅力的に伝えるにはどうすればいいか。リブランディングコンサルタントの深井賢一さんは「いまやサステナブル経営において世界的に注目を集める大川印刷は、従来の印刷法を捨て、環境に配慮した『環境印刷』の取り組みを日本国内でいち早く手掛けるようになって以降、あっという間に表舞台に躍り出た。私が衝撃を受けたのは、『お客さんのおかげで今日までに削減できた二酸化炭素の排出量』と銘打ち、時々刻々と変わる数値がホームページに表示されるアイデアだ」という――。

※本稿は、深井賢一『売れる「値上げ」』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

印刷工場で作業をする人
写真=iStock.com/giocalde
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サステナブル経営において世界的にも注目を集める日本人

「共感づくりの先駆け」の印刷会社
大川印刷の環境印刷

ニチバンの二酸化炭素削減に貢献する『SAFF』プロジェクトは私が行ったマーケティング企画ですが、このアイデアは、ある日突然、天から私に降ってきたわけではありません。実は、その数年前に見かけたある企業のホームページがきっかけでした。

アイデアのきっかけとなったのは、神奈川県横浜市を拠点とする環境印刷の先駆け、大川印刷です。

大川印刷のホームページにアクセスすると、まず目に飛び込んでくるのが、

「環境印刷で刷ろうぜ」

というキャッチコピー。その右脇に「SINCE 1881」とありますから、明治14年創業の歴史ある印刷会社です。古い歴史を刻みながら、目線の先には常に新しい時代に向けての挑戦がある――ホームページのコンテンツからはそんな社風も読み取れます。

実際、未来に向けての「環境印刷」をはじめとしたサステナブルな取り組みをいち早く始め、高い評価を得てきた会社でもあります。キャッチコピーのすぐ下に、SDGs関連の受賞歴がずらっと並んでいるのがそれを物語っています。

社長の大川哲郎氏は国連のイベントへの登壇・スピーチを依頼されるなど、サステナブル経営においては世界的にも注目を集める人物です。

何かと目を引くトップページですが、極めつきは、「お客さまのおかげで今日までに削減できたCO2の排出量」と銘打ち、時々刻々と変わる数値が表示されていること。

この「リアルタイムでの見える化」という画期的なアイデアを最初に目にしたときに、私は非常に衝撃を受けました。