「未来のため」以上に大切なのが目の前にある課題への対処
一方で、従来商品を一歩進化させ、「コスパ・タイパ」仕様の商品を別途、売り出すケースもあります。
例えば、「日清製粉ウェルナのスパゲティをはじめとしたパスタ商品の『マ・マー早ゆでシリーズ』は、アルデンテにゆで上がる時間を短縮でき、また、電子レンジ(※1)でも調理可能であり、調理時の二酸化炭素排出量を標準品(※2)と比較し、鍋でゆでた場合でも36%、電子レンジで温めた場合はさらに多く56%削減できる」と伝えています。
このように、生活の中の身近な食品を通して、「タイパ」が単なる時短に終わらず、未来に向けての環境への配慮、「エコパ」にもつながることを認識してもらえれば新たな活路が見えてきます。
さらに、消費者にとって「未来のため」以上に大切なのが、いま、目の前にある課題への対処です。鍋でゆでるにしてもレンジでチンするにしても、「早ゆでパスタ」なら、時短にできる分だけ光熱費を節約できます。
「タイパ」が「エネパ」にもなる――昨今の光熱費の高騰、値上げラッシュの渦中にあって、これは訴求力があります。
原料等のコスト高で商品自体は値上げせざるを得なくなっても、「タイパ」商品なら、光熱費を節約できる分、評価されるのです。
身近な商品・サービスの「変換と換算」の手法
「タイパ」に取り組んできた商品であれば、食品に限らず、日用品、調理家電など、どんな商品にも適用できます。
ただ、より「共感」を生むように伝えるには、よりていねいなアピール法が必要です。すなわち「変換と換算」の上手さが必要なのです。
例えばレトルト食品の場合、「電子レンジで温めるvsお湯で温める」の比較では、電子レンジで温めた場合には、お湯でゆでるより二酸化炭素排出量を80%も削減できるとします。
そうであるなら、電子レンジ使用だと1食あたりだと、どのくらい二酸化炭素を削減できるのかを計算して、伝えます。
ここから、電子レンジ使用で毎週・毎月・1年間食べ続けると、どのくらいの二酸化炭素排出量を削減できるのかも見えてきます。
これが家族3人なら3倍、4人なら4倍の量を削減できるとなれば、「ゆで方をレンチンにするだけで、こんなにも二酸化炭素排出量を減らすことができる!」と、より生活者の実情に沿った具体的な数字を示すことができ、驚きと共感を引き出すことができるでしょう。