夕方以降には強い光の刺激を避ける

もう少し、光と体内時計のメカニズムについて紹介しましょう。

光の情報は、眼の網膜の「視細胞」という光を捉えるセンサーから、網膜の「神経節細胞」を中継して、脳に届けられます。そして、神経節細胞の一部には、視覚の処理ではなく、明るさの情報そのものを脳に伝える役割をもっているものがあります。

この明るさの情報そのものを伝える神経節細胞のなかに、波長460ナノメートル前後の青い光を感じ取る分子が現れて、体内時計に影響を与えているというメカニズムです。

櫻井武『すぐに実践したくなる すごく使える睡眠学テクニック』(日本実業出版社)
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「明るさの情報が影響するなら、ブルーライト以外の光も悪者じゃないの?」と思ったあなた、大正解です。ブルーライト以外の光も体内時計に影響します。

ブルーライトだけを問題にする以前に、明るい光全般が悪いと考えておいたほうが良いでしょう。ただし、体内時計にもっとも強力に働いてしまうのがブルーライトなのです。

自然な眠りに入るためには、夕方以降には強い光の刺激を避けることがポイントです。たとえば、夜になったら部屋の照明は暗めにすることです。

できればリビングやダイニングは間接照明を使ったほうが良いでしょう。また光の強さや色を変えられる「ツーウェイタイプ」の照明にするのも1つの案です。

刺激的な動画や他人のSNSによる刺激にも注意

また最近のスマホは明るさを調節することができます。スマホの画面の「色温度」を調節して、寒色系のブルーライトから、暖色系に切り替えることでも光の刺激を弱める効果が期待できます。スマホの便利な機能を利用して、光による刺激で体内時計が乱れない工夫をしてみてください。

さらに、スマホやタブレットなどデジタルデバイスには、睡眠の質を低下させるコンテンツが多く含まれているので注意が必要です。YouTubeで刺激的な動画を次々と見たり、他人のSNSを見ながら嫉妬やコンプレックスを感じたりすると、脳が興奮して睡眠の妨げになります。

寝る前にスマホを使うときは、脳を刺激しないようにする──。睡眠に悩む現代人に求められているスキルの1つだといえるでしょう。

(イラストレーション=坂本奈緒)
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