40代を超える頃にもなると、「やりたいことが何もない」という人が増えてくる。自身36歳から仕事の取材を通してゴルフという趣味を獲得し、77歳のいまも継続する漫画家の弘兼憲史さんは「趣味は人生を楽しむためのツール。学生時代にやっていたこと、興味があったことに、後半生を充実させるためのヒントがあるのではないか」という――。

※本稿は、弘兼憲史著『迷わない生き方』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

新しい趣味を持つのに年齢は関係ない

「趣味がないんです」
「何か始められたらどうですか?」
「いやー、いまさら」――。

「今更」とは、もっと早ければともかく、今となっては遅すぎる――という意味。趣味を持つことに「遅すぎる」はあるのでしょうか?

パワーリフティング ベンチプレスの世界大会で5つの金メダルを獲得した奥村正子氏がベンチプレスを始めたのは、73歳のときです。

世界マスターズ室内陸上競技選手権200メートルM90(男子90~94歳)クラスで世界記録を樹立した田中博男氏が陸上を始めたのは、60歳のときです。

元NHK放送記者の稲田弘氏は70歳でトライアスロンを始め、“世界一過酷なレース”といわれるアイアンマン世界選手権に9回出場。2023(令和5)年には90歳にしてレースを完走しました。

ヘルメット着用の陽気なシニアマン旅行者
写真=iStock.com/Halfpoint
※写真はイメージです

新しい趣味を持つのに「もう遅い」はない

もちろん、誰もが鉄人になれるわけではありませんが、新しい趣味を持つことに「もう遅い」はないと言いたいのです。それが、好きなことならなおさらです。

「趣味」とは、仕事ではなく、あなた自身の個人的な楽しみとして愛好するものです。

専門家になるわけではないのですから、高いレベルに到達しなくてもいい。目指すのは、「うまくなる」ではなく「楽しむ」ことなのですから。