仕事部屋にこもって長時間過ごす漫画という仕事は過酷だ。漫画家、アシスタントたちがホッと一息つけるのは食事の時間。もともと料理人を目指したこともあると話す弘兼憲史さんは「ぼくは自分で買い物をして調理し、アシスタントにもふるまっている。料理は人生を豊かに彩ってくれる。男子厨房に入るべし」という――。

※本稿は、弘兼憲史著『迷わない生き方』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

男子、厨房に入るべし

ぼくは、食べることが好きです。それと同じくらい「料理」が好きです。

今までいろいろな本で「男子、厨房に入るべし」と言ってきました。料理は、人生を豊かにいろどってくれるからです。

ぼくが料理に興味を持ったきっかけは、小学生のとき、釣った魚を自分でさばいて食べたことでしょうか。

結核をわずらって入院していた父親が、しばらくの間、自宅療養していた時期がありました。その間、週に一度、近所の川釣りに連れ出してくれたのです。

現在では、キャッチ&リリースというフィッシングの方法もありますが、ぼくの子供の頃は「釣った魚は食べる」が当たり前でした。釣った魚を「いかにして食べるか」は、自分次第でうまくもまずくもなる、「やりがいのある」チャレンジだったのです。

魚をさばくことで料理の魅力に触れたぼくは、大人になってから「料理人になろう」と思った時期があったほど料理が好きになり、現在も大いに楽しんでいます。

自宅でおいしい食事を準備する認男性
写真=iStock.com/PeopleImages
※写真はイメージです

男性も料理をすべき最大の理由は「健康」

ぼくが男性にも料理を勧める最大の理由は、「健康」です。

脂質異常症・高血圧・糖尿病など、以前は成人病といわれた「生活習慣病」を発症する人は、40歳を境に急速に増えていきます。

その原因は、運動・睡眠不足、飲酒、ストレスなどさまざまですが、生活の中でとくに影響が大きいのが「食生活」。

ぼくがアシスタントを雇い始めた当初、食事は出前を取ることがほとんどでした。するとどうしても、数種の店屋物のローテーションとなって、飽きるし、なにより野菜不足になって健康によくないことを実感しました。