※本稿は、弘兼憲史著『迷わない生き方』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
男子、厨房に入るべし
ぼくは、食べることが好きです。それと同じくらい「料理」が好きです。
今までいろいろな本で「男子、厨房に入るべし」と言ってきました。料理は、人生を豊かに彩ってくれるからです。
ぼくが料理に興味を持ったきっかけは、小学生のとき、釣った魚を自分でさばいて食べたことでしょうか。
結核を患って入院していた父親が、しばらくの間、自宅療養していた時期がありました。その間、週に一度、近所の川釣りに連れ出してくれたのです。
現在では、キャッチ&リリースというフィッシングの方法もありますが、ぼくの子供の頃は「釣った魚は食べる」が当たり前でした。釣った魚を「いかにして食べるか」は、自分次第でうまくもまずくもなる、「やりがいのある」チャレンジだったのです。
魚をさばくことで料理の魅力に触れたぼくは、大人になってから「料理人になろう」と思った時期があったほど料理が好きになり、現在も大いに楽しんでいます。
男性も料理をすべき最大の理由は「健康」
ぼくが男性にも料理を勧める最大の理由は、「健康」です。
脂質異常症・高血圧・糖尿病など、以前は成人病といわれた「生活習慣病」を発症する人は、40歳を境に急速に増えていきます。
その原因は、運動・睡眠不足、飲酒、ストレスなどさまざまですが、生活の中でとくに影響が大きいのが「食生活」。
ぼくがアシスタントを雇い始めた当初、食事は出前を取ることがほとんどでした。するとどうしても、数種の店屋物のローテーションとなって、飽きるし、なにより野菜不足になって健康によくないことを実感しました。