10月から「マイナ保険証の解除」ができる

そのような方には朗報がある。この10月から「マイナ保険証の解除」ができるようになるのだ。「作ってしまったが使いたくない人」は、マイナ保険証の登録を解除してしまえば良いのだ。

もちろん手続きには、加入する医療保険者等に申請書を提出するといったある程度の手間はかかるが、解除さえしてしまえば、現行保険証の代わりともいえる「資格確認書」が送付される(有効期限内の保険証がない場合)。それを使えば、これまでどおり保険診療を受けられるようになるのである。

男性医師が記録を示し、患者に説明する
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ただ注意が必要なのは「マイナ保険証を持ってはいるけれど、マイナ保険証用の長蛇の列に並びたくないから、念のため資格確認書ももらっておきたい」は原則無理という点である。

あくまでも資格確認書の交付対象となるのは「マイナ保険証によるオンライン資格確認を受けることができない状況にある人」に限られていて、マイナ保険証により問題なく受診できている人には交付されない。

つまりマイナ保険証から資格確認書に乗り換えたい人は、10月以降「マイナ保険証の解除」ができるようになり次第、早めに行動を起こすことが望ましい。

河野氏張本人が普及に急ブレーキをかけている

利用登録を一度解除してしまっても心配はいらない。また登録したくなった場合も再登録は可能だからだ。まだまだ何年先になるかわからないが、マイナ保険証のセキュリティ上の問題が完全に払拭され、受付に十分な数のカードリーダーが設置され、ほとんど並ばなくてよくなる未来に、またもし欲しくなったら、そのときに再登録すれば良いのである。

前回の記事には「新しいシステムを導入する際には、ある程度の不具合や不都合は仕方ない。ゼロリスクを求めていては、なにも進まない」というご意見もいただいた。たしかに、その通りだ。

だからこそ「激変緩和策」を政府としては綿密に講じたうえで、広く周知せねばならないのだが、それをしようとしないばかりか、予測される不便益についても、いっこうに政府はアナウンスしようとしない。このようなやり方が、よりいっそうの不安や疑念を広げ、結果としてマイナ保険証利用率の低迷につながっているのだ。

そしてその発端にあるのは「保険証廃止」という河野太郎氏の強引な手法だ。彼こそがマイナ保険証の普及に急ブレーキをかけた張本人といっても過言ではなかろう。マイナ保険証を推進したいと考えている人こそ、彼の手法を徹底的に批判せねばなるまい。

しかも東京新聞(9月25日)によると、健康保険証の廃止に至る大臣間での協議や首相への報告が記録として残っていないことまで明らかになった。もうめちゃくちゃだ。「保険証廃止」の方針が一刻も早く撤回されるべき事態となっていることは、もはや誰の目にも明らかだろう。