業界の「ブラックボックス」を解消すべき

21年10月、競り市の業界団体「ペットパーク流通協会」(会長=上原勝三・関東ペットパーク代表)に要望書を提出。業界団体として、取引のあるすべての繁殖業者の飼育管理状況を調査するとともに、情報開示を徹底するよう求めた。

同時に、競り市から仕入れていた分について、繁殖業者との直接取引に切り替えていく方針も明らかにした。実際、22年月6月以降、同社は競り市からの仕入れがゼロになっている。

太田匡彦『猫を救うのは誰か』(朝日文庫)
太田匡彦『猫を救うのは誰か』(朝日文庫)

「事件の再発を防ぐには、やむを得ない決断だ。直接取引に切り替えることで1、2割コストが上がるが、ひざを突き合わせて取引することで、繁殖業者の飼育状況も改善していきたい」と正宗氏は言う。繁殖業者を巡回するスタッフを置く営業拠点を22年春に1カ所増やして計7カ所とし、業者との関係構築をはかる。

同社はあわせて、仕入れた子犬・子猫についての情報開示も始めた。「マンスリーペットレポート」と題して、仕入れた子犬・子猫のうち何匹が売れたのか、一方で何匹が販売前に死んだのか、また何らかの理由で売れなかった数がどれだけいたのか、月ごとに開示することを決めたのだ。正宗氏はこう話す。

「業界に存在する『ブラックボックス』を、まず私たちが解消する。いわゆる売れ残りが出た時にどうするのか、きちんと答えられる会社になりたい」

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